今年の流行語大賞といえば「インスタ映え」ですよね。 インスタグラムに投稿したときに見栄えのいい、写真映えする食べ物や風景のことです。実は香川県には、その「インスタ映え」に大きく貢献しているものがあるというので取材してきました。
(佐田リポート) 「香川県の西讃地区の嫁入り菓子として知られるおいり。このようなおいりを使ったスイーツが、今、全国で大人気なんです。」
インスタグラムで♯おいりで調べてみると・・・1万8557件もの投稿がありました。おいりを使った可愛いスイーツの数々。まさに“インスタ映え”ですよね。
夏に特集でお伝えした高松市のひだまりかき氷スタンドでも・・・
(ヒダマリカキゴオリスタンド/内海芳美 さん) 「他店でも結構使っているみたいで。おいりとは言わないかな。おかきとかって言われるかな。おいりが乗ってるものでお願いしますっていうのを鷺沼店でもよく言われます。」
神奈川県に出店した店舗でもおいりの人気は高いということでした。
そんなおいりスイーツの元祖ともいえる、「嫁入りおいりソフト」。 これを10年前に考案したのが、こんぴらさんの参道のふもとにある、お休み処四国の旬の羽藤裕子さんです。
(お休み処 四国の旬/羽藤裕子 さん) 「白いソフトに、かわいいいろんな色のおいりを乗せるとかわいいんだろうなあという、瞬間的にひらめきました。」 (当時、もちろんインスタもまだなかったわけですけど、インスタ映えをかなり先取りした形になりますね。) 「ありがとうございます。当時は写メって言葉はあってお渡しした瞬間に携帯電話で撮影はしていたんですけど、まさかこんなに世界中の皆さんに知っていただくようになるとは夢にも思っていませんでした。」
この人気ぶりは、おいりを作り続けて約100年の老舗、丸亀市の則包商店にも変化をもたらしていました。
(則包商店 3代目/則包裕司 さん) 「今まででしたら、夏場というのは暇な時期だったんですけど、最近喫茶店とかなんかでソフトクリームとかかき氷のトッピングとして使われるようになったんですね、それで夏場の方も忙しくなりましたね。」 「おいりを皆さんに知っていただいて、食べていただけるっていうのは僕にとってはうれしいことですね。」
さて、皆さん、ご存知でしょうか。おいりはかなり手間ひまかけて作られているんです。 おいりの原型は、餅と砂糖を混ぜた生地を四角く切ったもの。乾燥させて、煎るのですが、この機械、修理を重ねながら80年以上使い続けているそうです。出てきたときには、きれいなまんまるに。このあと、色づけをして、再び乾燥させたら完成です。生地作りから完成まで、約1週間。これを夫婦2人だけで行っています。
丸亀商工会議所によりますと、現在おいりを作っているところは、香川県ではわずか5か所。急激に人気が出たことで、販売店によっては2カ月待ちのところもあるようです。
そんな中でも、則包商店ではおいりの嫁入り菓子としての文化を守ろうとしています。
(佐田リポート) 「今、(婚礼用に)注文しようと思ったら買える状態なんですか?」 (則包商店 3代目/則包裕司 さん) 「ある程度婚礼のお客さんには在庫を置いていますので、大丈夫です。」
カフェなどの需要が増えてもお嫁さんの分は確保しておくということに、則包さんの愛を感じました。
さて、嫁入りおいりソフトなんですが、人気が高まりグッズまで登場しました。ストラップです。いまでは、嫁入りおいりソフトを求めて、香港や台湾など海外のお客さんも増えているようです。