西日本豪雨で決壊した倉敷市真備町の小田川の支流・真谷川を、1日、河川工学の専門家が調査しました。現場に残った痕跡から洪水の起きた過程が、次第に明らかになっていきます。
(記者) 「こちらの集落でも近くの真谷川が決壊し、大きな被害が出ています」
真谷川は小田川の支流で、真備町の服部地区を流れています。 水位が上がった小田川からのバックウォーターで、水が流れにくくなり真谷川の水位が上昇。堤防が決壊して水があふれました。
1日、東京理科大学の二瓶泰雄教授と研究室の学生が真谷川の調査にやってきました。氾濫した当時の水位や、バックウォーターの影響の大きさを調べるのが目的です。 決壊ポイントから、上流まで2キロほどの範囲を歩いて調査しました。
(東京理科大学 理工学部/二瓶泰雄 教授) 「どういう形で氾濫したかっていうのを、今ちゃんと検証しとかないと、跡が残らなくなる。今、基礎的なデータを ちゃんととって、氾濫の過程みたいなものをちゃんと出したい」
調査は、まず氾濫の痕跡を探します。
(東京理科大学 理工学部/二瓶泰雄 教授) 「あの草とか泥とか、跡がいろんなところに残ってる。洪水の跡が残ってるので、高さを測ることによって、どこまで洪水が来たのか分かる」
また、痕跡の状態から、当時の水の流れを推測します。
(東京理科大学 理工学部/二瓶泰雄 教授) 「向こう側、見ていただくと川の方に向かって、倒れているのが分かると思うんですけど、川の周辺で一回氾濫した水がまた川に戻ってきて、ああいう向きに草が倒れてるんです」
調査の結果、真谷川では、氾濫した水が地区の中で複雑に流れ、また、バックウォーターの影響もかなり上流に及んだことが分かりました。 調べた氾濫の痕跡は、位置情報をGPSで確認し、記録します。
浸水の深さや水の方向など、記録したデータを地図の上に落とし込んで、氾濫過程のシミュレーションを作るためです。 ここまで調査した真谷川周辺、服部地区の特徴を聞きました。
(東京理科大学 理工学部/二瓶泰雄 教授) 「このあたり、水に浸かると水の逃げ場がありませんので、どんどん溜まる一方になりますので、かなり早い時間で たぶん数時間で全体に水が浸水して、あとは水が深くなる。今回のように浸水深が深いところでは、自宅の1階から2階に避難したとしても、2階も浸水するという状況になりますので、より安全な場所に自宅から避難所とかへの水平避難というのが必要」