来年4月から始まる瀬戸内国際芸術祭を前に交流を深めました。ハンセン病の療養所がある高松市の大島で、島内外の人々が互いの歴史や文化について理解を深めるイベントが開かれました。
「大島・島とつながる交歓会」です。
約20人の参加者がガイドの案内で島を巡り、ハンセン病や国立療養所「大島青松園」の歴史について学びました。
1931年に制定された「らい予防法」により、ハンセン病患者は強制的に隔離されました。病気が完治した後も根強い差別や偏見に苦しみ、療養所で一生を終えた人々が多くいます。
(案内役の人はー) 「こちらが昔、大島で使われていたとされる解剖台になります。亡くなった方の解剖をこの上で行ったり、ご遺体を洗っていたと聞いています」
長い間、海岸に放置されていた解剖台は、2010年、大島が芸術祭に参加したのをきっかけに引き揚げられました。
続いてやってきたのは、かつて入所者が暮らしていた住居です。
(記者) 「こちらには、写真が趣味だったという元ハンセン病患者の遺品をアート作品として展示しています。カメラの部品や写真が壁一面に展示されていて、今も本人が暮らしているかのような生活感があります」
(参加者はー) 「話は聞いていても実際に見ることはないしね。皆さんにみてもらって、知ってもらうことは、大切ではないかと思います」
この日は、芸術祭に参加している直島や豊島など、周辺の島から住民が駆けつけ、特産品の販売を行いました。
また、入所者を前に小豆島の「石節」や男木島の「獅子舞」などの伝統芸能が披露されました。
(大島青松園 自治会長/森 和男さん) 「こうして、瀬戸内国際芸術祭を機会に、周りの島の方々と交流できるようになったことは、大変うれしいことだと 思っています」
来年で110周年を迎える大島青松園。入所者は54人、平均年齢は約84歳と高齢化が進み、島の歴史をどう語り継ぐかが課題となっています。
(大島青松園/野村 宏さん) 「多くの皆さんが、今ではこうやって来園されるようになって、現在82歳になりますが、本当に長生きしてよかったなというのが実感です」
(瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局/佐藤今日子さん) 「瀬戸芸を一つの機会として、大島に行かれる方が増えています。大島の方にも、来てもらってよかったと言っていただけるので、今後どんどん交流が広がっていくことを願っています」