香川を走る注目の聖火ランナーをシリーズでお伝えします。今回は、頸隋損傷で車いすの生活を余儀なくされながらも介護事業や障害者の就労支援事業に取り組んでいる男性です。 男性の目標は、1区間200メートルを車いすを使わずに聖火をつなぐこと。
観音寺市に住む毛利公一さん(38)は、4つの介護福祉事業所を運営しています。
パソコンや電話は口やあごを使って操作します。ちなみに、これらの器具は毛利さんが友人や企業などの協力を得て作ったオリジナルです。
毛利さんは、かつて陸上の棒高跳びでオリンピックを目指していました。 大学時代には関東インカレで優勝するなど活躍しました。
しかし2004年、アメリカ留学中に海の事故で、首に大きな衝撃を受けて頸隋を損傷しました。
(毛利公一さん) 「一生寝たきり、一生呼吸器。この生活を覚悟しなさいと。この状態から歩けるようになった人は世界に1人もいませんと…そしたら、自分が歩いたら世界一になれるんだと思ったんですね」
自己流の呼吸訓練を重ね、事故の2年後には人工呼吸器を外すことができました。今は「自力歩行」を目指して、自宅で毎日5時間近いリハビリを続けています。
そんな毛利さんの力強いパートナーが妻の和枝さんです。
(妻 和枝さん) 「元々アスリートでオリンピックを目指していたので、こういう形でオリンピックに関われるのはすごくうれしい。(サポートは)して欲しいなと思うことを先走らないで手伝いたいと思っています」
毛利さんは今年1月から装具を使った歩行訓練を始めました。目標は「車いすを使わずに聖火を運ぶ」こと。 トレーニングは週2回。作業療法士が後ろから支えながら片道10メートルほどを何回も往復します。
この日、初めて200メートルを歩くことができました。しかし、自力で聖火をつなぐには大きな課題があります。それは「1.2キロほどあるトーチをどうやって持つか」です。
まだ答えは出ていませんが、4月の本番に向けて岡山の企業などと協力しながら試行錯誤を続けています。
(毛利公一さん) 「まだ2カ月あるかな、と思うのでギリギリまで挑戦し続けるつもりです。絶対歩きたいと思っています」