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【特集】「自分の足で聖火を」車椅子で生活する男性の挑戦…聖火リレーへの思い 香川

 香川県では4月17、18日に「東京2020オリンピックパラリンピック」聖火リレーが行われます。180人のランナーが8市9町で聖火をつなぎます。

 その中には、普段車いすで生活している男性がいます。男性は自分の足で聖火をつなぐために聖火リレーが1年延期になった後もトレーニングを続けていました。

トレーニングを続けた男性…目標は「自分の足で聖火をつなぐ」

 ランナーの1人、観音寺市の毛利公一さん(39)です。
 毛利さんは車いすで生活しながら介護事業や障害者の就労支援事業などに取り組んでいます。毛利さんはかつて陸上の棒高跳びの選手としてオリンピックを目指していました。

 大学時代には関東インカレで優勝するなど将来を期待されていました。しかし2004年、アメリカ留学中に海の事故で首に大きな衝撃を受け、頚髄を損傷してしまいました。

(聖火ランナー/毛利公一さん)
「一生寝たきり、一生呼吸器。この生活を覚悟しなさいと。この状態から歩けるようになった人は世界に1人もいませんと。そしたら、自分が歩いたら世界一になれるんだと思ったんですね」

 毛利さんは自己流の呼吸訓練を重ねて、事故の2年後には人工呼吸器を外すことができました。「自力歩行」を目指して毎日5時間近いリハビリを続けています。

2020年…聖火リレーの延期が決定

 聖火ランナーに決まった毛利さんは、自分の足で聖火をつなぐことを目標にトレーニングを続けてきました。ようやく200メートルを歩けるようになったころ、オリンピック、そして聖火リレーの延期が決定しました。

(聖火ランナー/毛利公一さん[2020年])
「残念な気持ちは少しありますが、楽しみがちょっと延びた」

 毛利さんはこの延期の期間2つのことに取り組みました。1つは、区間を歩き切るための体力をつけること。もう1つが聖火をともすトーチの扱いです。

 聖火ランナーが持つトーチは重さが1.2キログラムほど。1年前はこのトーチをどのように持つかを試行錯誤していました。延期が決まって以降、毛利さんは組織委員会と交渉を重ね、補助を2人つける了解を得ました。

 1年前は屋内だけのトレーニングでしたが、2021年3月の半ばからは屋外での歩行訓練も開始しました。ただし、体調維持のため屋外での訓練は週に1回と限られています。

 訓練では作業療法士が毛利さんとベルトでつながり、後ろから支えます。そして、もう1人の補助がトーチを支えます。訓練用のトーチは毛利さんの父親が作ったもの。実際の重さよりも200グラムほど重くなっています。

4回目の屋外練習…手応えは?

 この日は、「チーム毛利」にとって4回目の屋外での訓練です。

(聖火ランナー/毛利公一さん)
「これまでよりきょうはペース早く歩けたので、本当に歩いているような速度に近いかなと思います。毎回毎回スピードは上がっていって、たぶん先生の慣れと私の呼吸も合っていって、当日はだいたいこれぐらいのスピードで行けたらなと思います」

(作業療法士/小嶋勇大さん)
「最初に比べたら毛利さん自身の体力も増えてきて、最初はすぐに血圧が下がって意識が飛ぶみたいなとこがあったんですけど、今みたいに歩いて戻ってこれるところまでちゃんと立っていられることは、かなりの体力の向上だと思います。何とかやるしかないですね。見通しも、とにかくぶっつけ本番に近いので。やり切りたいです」

 延期となったこの1年、毛利さんはさまざまな葛藤を抱えながらも少しずつ歩みを進めてきました。

(聖火ランナー/毛利公一さん)
「私自身もコロナウイルスが本当に怖かったですし、やっぱりやめた方がいいのかなっていう自分の中でも葛藤がありましたけど、せっかく与えられた機会は全うするべきだなという思いの方が強くて、自分が挑戦していることをあきらめずにやっている姿も何か伝わることがあるんじゃないかと思って。自分の使命感的な部分を勝手に感じながらですけど、本当に葛藤の多い1年間でした」

立ち止まっている人に「一歩踏み出す」勇気を―

(聖火ランナー/毛利公一さん)
「選んでいただいたおかげでそこに立てるので、その役割の重さも感じながら。何か一歩踏み出せない、立ち止まっている人に、この姿を見て自分もやってみようかなと思ってもらえるような姿をお見せしたいなと思っています」

 毛利さんは17日に観音寺市の聖火リレーに参加します。

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