プロの生演奏に癒されてみませんか?新型コロナウイルスで音楽業界も影響を受ける中、高松出身の音楽家が新たなデリバリーの取り組みを始めました。届けるのは…「古楽」です。
高松市出身の古楽器奏者・柴田俊幸さんは依頼先で古楽を演奏する「デリバリー古楽」の活動を行っています。 演奏している「フラウト・トラヴェルソ」は、フルートの前身となった18世紀ヨーロッパの楽器です。
昔の西洋音楽を当時の楽器と演奏法で奏でる古楽。 柴田さんは新型コロナウイルス対策として、お遍路の笠で作ったフェイスシールドを被って生演奏を届けています。
(古楽器奏者/柴田俊幸さん) 「音楽家にとって演奏会をするというのは息をするのと同じような感じなので。密を避けてどう演奏会をするのかというのを考えた結果、デリバリー古楽を始めました」
ベルギーを中心に活動している柴田さんは日本にも古楽を広めようと、4年前から芸術監督として古楽祭を開催しています。今年の古楽祭に向けて4月に一時帰国しましたが、感染拡大を受けて中止を決断。
ベルギーに戻ることもできない中、故郷である香川で音楽を届けられないかと始めたのがデリバリー古楽でした。
この日、柴田さんは直島の住民から依頼を受けて約30人を前に演奏することになりました。 柴田さんは去年の瀬戸内国際芸術祭でガイドを務めて以来、島民と交流がありました。
(野口真菜リポート) 「これからデリバリー古楽が始まります。島の住民たちは演奏を心待ちにしています」
デリバリー古楽を始めて以降、柴田さんがこの人数を相手に演奏会を開くのは初めてのことでした。 この日、柴田さんはバッハやテレマンなどの曲、全4曲を演奏しました。
(演奏を聴いた島民はー) 「最近はもうなんでもオンラインで音楽もオンライン配信みたいなかたちで、生の音の素晴らしさを改めて感じました」 「生の演奏を聴くっていう機会が減ってきた中で、久しぶりに聴けてやっぱり生の音楽はすごい力をもらえるなっていうふうに思いました」 「風の音が鳴ってるように聴こえました」
(古楽器奏者/柴田俊幸さん) 「音楽があるところに人は集まるし、音楽という媒体を通して演奏家と聴く人もつながるし。それが失われているっていうのは僕はすごい危惧しているし、今後やっぱり『早く戻ってきてほしい』そういったメッセージも込めてこのデリバリー古楽ってやっているので。もちろん段階的にですけど、演奏会がまた開ける状態に戻ってきてほしいなと思っています」
「デリバリー古楽」は中国・四国地方を対象に6月末まで行います。今後、状況を見ながら全国にも広げていく予定です。