岡山県議会が家庭での教育を社会全体で支援しようという「家庭教育応援条例」の制定の準備を進めています。この条例案について「一方的な価値観の押し付けだ」などとして12日、県民の有志が制定に反対する署名を提出しました。
署名を呼び掛けた岡山県内のデザイナーやフリーライターら4人が岡山県議会を訪れ、議長らに宛てた署名、手書きとオンライン合わせて2万2345人分を提出しました。
岡山県家庭教育応援条例案は自民党岡山県議団が中心となって制定準備を進めているものです。「保護者がその子どもの教育について第一義的責任を有する」とした上で、社会全体で家庭教育を支えるための保護者や学校、地域住民などの役割を定めています。
2021年5月から6月にかけて県議会が行ったパブリックコメントでは、過去最多となる合わせて511件の意見が市町村と県民から寄せられました。
署名の呼び掛け人たちは「条例案は一方的な価値観を押し付け、困難を抱える家庭や子どもを排除するものだ」と批判し、条例を制定しないよう求めました。
(署名を呼び掛けたフリライター/黒部麻子さん)
「本当に家庭の教育力が今低下しているのかというところも偏見というか議論として雑」
また、知的障害と発達障害の子どもを育てている女性も思いを述べました。
(知的障害・発達障害児の母親)
「こういう型にはめるような条例ができた場合、『(発達障害は)しつけのせいだ』と保護者が責められたり、『普通でないんだ』と子どもを追い詰めてしまったり。そういったことで普段傷ついているのが発達障害児の親ですので」
岡山県議会は12月、パブリックコメントを受けて「子どもが将来親になるために」を「将来親になる選択をした場合のために」と変更するなど素案の表現を約50カ所修正。14日の常任委員会で審議した上で、2月定例議会での提案を目指しています。