今回は、学校生活の楽しみの一つ、「給食」について考えます。
備前市の公立小学校の給食費は現在1食285円なんですが、これを2022年度からは0円、無償にしようとしています。なぜ給食費を無償にするのか。一方で、新型コロナの影響で値上げするところも。給食費を巡る動きに迫ります。
なぜ?「給食費」値上げする自治体も…備前市は「0円」に
(松木梨菜リポート)
「こちらの小学校では今年に入って、給食費を1000円値上げしたということです」
岡山市内の公立の小学校の給食費は各小学校で運用しています。
ある小学校では2021年度の給食費を月額5000円に定めていました。しかし、授業日数を確保するために夏休みを短縮したことや校外学習を中止したことで出席日数が増え、給食の回数が増加。給食費を値上げすることになったということです。
一方……。
(松木梨菜リポート)
「備前市の伊部小学校です。まん延防止措置の期間中のため校内に立ち入ることはできないんですけれども、現在正午すぎということでこれから給食の時間が始まります」
備前市でも給食費は値上がりしています。
2000年には小学生の給食費は1食260円でしたが、現在は285円に。この20年余りで25円値上がり。単純計算で年間6000円アップです。
(備前市教育委員会 教育プロジェクト推進課/草加浩一 課長)
「過去何度か必要に迫られて値上げをしております。食材費の高騰であったり、消費税の引き上げであったり、そういったことが要因になっています」
そうした中――。
(備前市/吉村武司 市長[定例備前市議会 2月22日])
「新規事業として小中学校の給食費および学用品費の無償化」
備前市は、2022年4月から全ての小中学生の給食費を無償化する方針です。新年度一般会計当初予算案に関係費として、約9100万円を計上しました。
なぜ無償化しようとしているのでしょうか。
(備前市教育委員会 教育プロジェクト推進課/草加浩一 課長)
「子育て世帯、保護者の方のご負担の軽減、また市内で問題として認識している子育て世代、20代・30代の方の転出の抑制に、いくらかでも貢献できればと思って」
市の調査では、転出する世帯のうち約7割が20代・30代という結果だったそうです。
さらには子育て世帯に移住してもらうために、学校の授業で使うドリルや図工で使う画用紙などの学用品も無償化する方針です。
市は、関係費として新年度一般会計当初予算案に約3100万円を計上しています。
(備前市教育委員会 教育プロジェクト推進課/草加浩一 課長)
「市内に住んでいただきやすい環境をいろんな分野で高めていきたいと考えております」
無償化実現で「年間約7万円」の負担減
今回の無償化が実現すれば小学生の子どもがいる世帯では年間で約7万円ほどが浮くことになります。
子育て支援策に力を入れる背景には子どもの数が減っていることがあります。備前市の公立小中学校に通う児童生徒の数は、2006年度には合わせて3352人でしたが、2021年度は1916人とその6割ほどになっています。
少子高齢化をなんとかしようと、全国では子育て世帯を呼び込もうとさまざまな取り組みが行われています。
大阪府池田市ではダイハツ工業の協力を得て3人目を出産した人を対象に新車を3年間無償で貸し出す取り組みを行っています。2017年度からこの取り組みを始め、2022年1月末までの間に278世帯と納車契約をしたということです。
このほか千葉県旭市では、2010年度から2歳未満の乳幼児を対象に月額3000円分の紙おむつ購入券を保護者に支給しています。
今後、自治体による子育て世帯への支援策はさらに強化されるのでしょうか。
「学費無償化」も? 子育て世帯への支援の今後は――
(日本政策投資銀行 岡山事務所/小林貴史 所長)
「いい取り組みがあると、他の自治体も追随する動きっていうのはあると思うんです。財源も必要になってくると思いますけれども、子どもの数を増やすとかそういうことにつながるってことであれば、学費にもテコ入れしていくような動きっていうのはあるかもしれないと思います」
ただ、地方創生に詳しい専門家は、どれだけ移住する人が増えたかなどの「効果」を大事にしてほしいと話します。
(日本政策投資銀行 岡山事務所/小林貴史 所長)
「政策推進上の効果を計測すること、民間の企業の経営とは異なるので難易度が高かったり把握し難いと思うんですけど、限りある財源の中で『やりっぱなし』ではなくて(効果の)計測みたいな観点も大事にしながら、少しずつ進めていく必要もあるんじゃないか」