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【特集】「絶対になくしちゃいけない」全国最年少・24歳の女性宮司 祖父から伝統を引き継ぎ未来へ 香川・会下天満神社

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 香川県丸亀市の神社で宮司を務めるのは24歳の女性。全国で最も若い女性宮司です。宮司になることを決めた背景には地域と祖父への思いがありました。

 丸亀市の中心部にある会下天満神社。平安時代に讃岐の国司を務めた菅原道真を祭っていて、約1100年の歴史を誇ります。1月1日には地域の人たちが初詣に訪れていました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「緊張します、きょうは特に緊張します。朝は結構2、3組くらいまとめてこられたりとかもして」

 この神社で宮司を務めているのが曽坂琴美さんです。1998年生まれで現在24歳。全国で最も若い女性宮司です。

(地域の人は―)
「ご近所でいつもお世話になってます。若くてきれいでハキハキしてて良いと思います」

 曽坂さんは2021年10月、23歳の時に先代である祖父から宮司を継ぎました。

 祖父の富茂さんは現在93歳。曽坂さんに継ぐまで70年間宮司を務めてきました。

(祖父/瀧下富茂さん)
Q.曽坂さんが宮司を継いでくれてどう思う?
「うれしいんです。若いけどしっかりしてて、私も本当にうれしいんです」

 幼いころ、曽坂さんは神社とはほとんど無縁の生活を送ってきました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「兵庫県で生まれ育ったので、神社とまったく無縁で。あまり縁がなかったというか、ピンとこなかった」

 初めて神社の手伝いをしたのは15歳のとき。お正月に祖父・富茂さんに誘われたことがきっかけでした。

 その後も何度か手伝っているうちに、富茂さんに「宮司を継いでほしい」と相談されました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「もちろんすごく迷ったんですよね。そのままでも十分幸せに暮らしていたので」

 それでも地域に愛される神社を支え続ける祖父の姿に心が動かされました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「思うように動けなくなっていく祖父を見て、無視できないというか、目をそらし続けちゃいけないなと思って」

 曽坂さんは19歳の時から神職になるための講座を受けました。しかし、このころもまだ本当に宮司を継ぐのか迷いがありました。気持ちが変わったのは、秋祭りの手伝いに来た時でした。

 会下天満神社の秋季例大祭は五穀豊穣を願い毎年10月に行われます。色鮮やかな獅子舞が町内を巡り沿道には多くの人が集まります。その光景に曽坂さんは心を動かされました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「お父さんが獅子を舞っているところの隣の空き地で、5歳くらいのお子さんがマイ獅子みたいなのをかぶって1人でお父さんの真似をして舞っていた。こんな小さい子がお父さんと同じ舞台に立ちたいという思いで一生懸命やっているのに、私はこのまま兵庫県に居続けていいのかなと思って。絶対にこの秋祭りをなくしちゃいけないなと思ったんですよ」

 23歳の時、曽坂さんは兵庫県から香川県へと移り住み宮司になりました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「伝統的な行事をなくさないようにしたいと強く思っていて。なくしちゃいけない。伝統を代が変わっても引き継いでいきたいなと」

(祖父/瀧下富茂さん)
「地域の人のことを思って、氏子の一人一人の幸福、幸せを願う宮司さんになってほしいです」

 この日、曽坂さんは丸亀市沖の本島に向かいました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「祖父から会下天満神社を継いだときに(本島の神社も)跡を継ぐことになって、私も継ぐまでは知らなかったんですよ」

 会下天満神社の宮司になった曽坂さんは、他にも本島の11の神社など合わせて15の神社の管理も引き継ぐことになりました。

 会下天満神社の宮司は毎年正月に島を訪れ、新年のおはらいをしています。

(本島の住民は―)
「若くて、おじいちゃんのときと違ってピチピチしていますからね。いろいろと教えてもらったり、教えてあげたりしながら、いろいろとしていきたい」

 この日は本島の3つの神社を回りました。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「先代がやってきたように、同じようには恐らくできていなくて。『おじいちゃんはこうやってやってたよ』とか、『こうやったらいいよ』って聞きながらなので。温かく支えてくださる皆さんのおかげで、頑張ることができています」

 全国最年少の女性宮司。現在24歳の曽坂さんは以前、先輩神職にかけられた言葉をずっと大切にしています。

(会下天満神社/曽坂琴美 宮司)
「『寄り添おうっていう気持ちが本当は一番大事なんじゃないか』と話をしていただいて。その人に寄り添うっていう気持ちは、この神社をなくしちゃいけないとか、おじいちゃんの意思を継ぎたいと思っている時点で、『あなたもすでに持ってるでしょ』って。少しほっとしたというか、私が神職になってもいいというか、宮司になってからも何度も思い出して」
「祖父が大切にしてきた、築いてきたものを私の代でも引き継いで、今までの神社のイメージを覆せるような、柔らかくて皆さんのおうちのすぐそばにある神社として、親しみやすく温かい場所にしていけたらなと思います」

 曽坂さんの名刺は、神社の堅いイメージを変えようと可愛らしいデザインにしたそうです。今後はSNSなどを使って会下天満神社の魅力を発信する予定だということです。

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