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ハンセン病の歴史伝える大島も 高校生が「島の魅力」を発信 香川

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 香川県の高校生が、瀬戸内国際芸術祭の会場となっている島でフィールドワークを行い、魅力や気づきを発信するプロジェクトに取り組みました。

 香川県教育委員会が主催した「せとうち 高校生探究&情報発信プロジェクト」。

 テーマとなる5つの島のうち、国立ハンセン病療養所がある「大島」を訪れたのは8人の高校生です。

 ハンセン病は感染力が非常に弱く、戦後には治療法も確立されました。しかし、国の誤った強制隔離政策によって患者やその家族はいわれのない差別・偏見に苦しんだのです。

(参加した高校生)
「瀬戸内は自分が住んでいる地域で、知らないことも多いなと思って、それを知りたいと思って参加しました」

(大島青松園 入所者/野村宏さん[87])
Q.コロナが蔓延していた時にどう感じましたか?
「ハンセン病と似ていると思った。いまだに差別と偏見というのはいつの時代も出てくるものかと思った」

 入所者の野村宏さんは16歳の時、強制隔離政策によって家族と引き離され、療養とは名ばかりの不自由な生活を余儀なくされました。

 入所者の高齢化が進む中、大島にはハンセン病をテーマにした瀬戸芸の作品が展示され、訪れた人にその歴史を伝えています。

高校生「何も知らないまま島に来る人たちに伝えたいことはありますか?」
野村さん「(病気が完治して)今はハンセン病の患者はいないんです。(強制隔離を定めた)『らい予防法』が廃止になったあと、『いつ帰ってもいい』と言われたけど、もう帰るところもなくなってしまってここにお世話になっている」

 大島の歴史や現状を知り、高校生は何を感じたのでしょうか?

(参加した高校生は―)
「自然が豊かなところで、大島はハンセン病の療養施設だけではないなと思いました」
「(大島に)人を呼べるように自分の力で何かをしてみたいと思いました」

 フィールドワークの成果発表に向け、準備が始まりました。テーマは「島の見どころをどのように発信するか」。

(話し合う高校生)
「どうやって言えばいいんだろう……」
「(瀬戸芸のアートは)中を見せない方が行ってみたいと思うかも」
「最初に瀬戸芸を入れてハンセン病の話をして、最後にカフェを入れて、暗い気持ちではなく『カフェきれい』みたいな気持ちで終わらせたい」

 高校生が注目したのは、瀬戸芸をきっかけに誕生した島のカフェ。大島でとれた果実を使い、ドリンクやスイーツを提供しています。

 そして、カフェの器は大島の土で手作りしたものです。

 迎えた発表当日。5つの島をテーマに、10のグループが成果を発表し、瀬戸芸の総合ディレクターを務める北川フラムさんらが講評しました。

(大島を訪れた高校生)
「『カフェ・シヨル』では、食べるだけではなくて、目で見たり手で触ったりして大島を感じることができます」
「2022年の瀬戸芸で大島を訪れた人は6000人を超えています。野村さんはたくさんの人が訪れることに対して、『知ってもらえてとてもうれしい』と話してくださいました」

 大島を訪ねた2つのグループは、ハンセン病の歴史や野村さんの思いを伝えるとともに、アートやカフェなどの見どころを紹介しました。

(香川大学/長谷川修一 特任教授)
「(ハンセン病という)非常に重いテーマに向かってフィールドワークをされて、発表したことに高く敬意を表したいと思います」

(参加した高校生は―)
「大島が若い人とかにもいっぱい来てもらえるような場所になってくれたらいいなと思います」
「自分で現場に行ってどういうものを感じてそれをどうやって人に伝えるか、という難しさと、(ハンセン病の)歴史も学べて、2つ得るものがありました」

(瀬戸内国際芸術祭 総合ディレクター/北川フラムさん)
「すごく近くにあるんだけどいろんな場所を歩いてみるといろいろ発見できるということは、すごくいいなと思って、これを日常的に考えていってもらえるといいなと思います」

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