インターネットやゲームの依存状態に陥るのを防ごうと香川県教育委員会が児童・生徒に配布している学習シート。8月、専門家で作る団体がこの学習シートに「誤りや問題点」があるとして公開質問状を出しましたが、県教委は「回答しない」ことを決めました。
問題になっているのは香川県教委が2020年度から小中学生に配布している「ネット・ゲーム依存予防対策学習シート」です。
ギャンブルやゲームなどへの依存的な行動に関する調査研究を行う「日本行動嗜癖学会」は、このシートに「医学的、科学的な誤りや問題点がある」などとして県教委としての見解を求めています。
例えば、「脳への影響」とする参考資料では、引用元の論文からは推定できない因果を述べているなどとしています。
(日本行動嗜癖学会理事 公立諏訪東京理科大学(脳科学)/篠原菊紀 教授)
「使ってる事実が、科学性に問題があるというか、正確性に問題がある。非科学的な思い込みに気づかせるってことは勘弁してください」
この公開質問状について県教委は……。
(香川県教育委員会/淀谷圭三郎 教育長)
「質問の内容も一つの見識であると受け止めていますが、我々の学習シートも専門家とかの助言もいただきながら監修しておりまして、現時点では公開質問状に対してお答えする予定はございません」
行動嗜癖学会と連携して質問状を届けたコンテンツ文化研究会の杉野直也さんは県教委から「回答を控える」という連絡を受けました。
(コンテンツ文化研究会/杉野直也 代表)
「回答がいただけなかったというのは残念ではありますね。もし正しいことをきちっとやってらっしゃるというのであれば、僕らと意見が合わなくても意見をちゃんと発信することが大事なんではないかなと僕は思います。先生方や生徒から質問があったときも本当にこれで対応できるのかなと気にはなります」
県議会の代表質問でも立憲・市民派ネットが教育長に今後の対応を質しました。
(立憲・市民派ネット/植田真紀 議員)
「科学的、医学的に間違いが指摘されているものについて現に使われているということですが、今後も学校現場で使っていくんでしょうか?」
(香川県教育委員会/淀谷圭三郎 教育長)
「学習シートを来年度も使うのかというお尋ねでございました。ネット・ゲームの適正利用について家庭におけるルールづくりの参考として活用してまいりたいと考えています」