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かつての「収容所」が会場に…ハンセン病療養所でコンサート 入所者が紡いだ「言葉」伝える 岡山

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 岡山県瀬戸内市のハンセン病療養所「長島愛生園」で8日、入所者の詩や文章などを題材にしたコンサートが開かれました。

 1930年、長島愛生園の開園と同時に設置された「収容所」。当時、ハンセン病患者の入所直後の手続きや検診が行われていました。この場所で入所者は体や衣類を消毒され、逃走防止のために金品などを没収されたといいます。

 ハンセン病療養所と深く関わり続けているアーティスト・沢知恵さんと山川冬樹さんによるコンサート「こえ聴こゆ、ことばの果てに。」は、かつての「収容所」を会場に行われました。

(長島愛生園入所者が少年時代に書いた詩の朗読)
「一輪のキキョウが咲いている細々としたその茎、貧弱な花、でも精一杯に『今まで生きてきた』と言うように、貧弱でもかわいい花をつけている」

 このコンサートでは長く続いた国の強制隔離政策の中で力強く生き抜いてきた入所者の「言葉」を、朗読や音楽、パフォーマンスなどで表現しました。

 1938年に10歳で家族のもとを離れ入所した宮﨑かづゑさん(95)は、付き添ってきた祖父との思い出を文章につづっていました。

(宮﨑かづゑさん 「長い道」より朗読)
「どなたかに『おじいちゃんといっしょに帰るから』と言った記憶があるんです。島に来た意味をわかっているようで、よくわかっていなかったのかもしれませんね。私が『いっしょに帰る』などと口に出したので、悲しませないために、別れを言わずに帰ったのだろうとのちのち思いました」

(長島愛生園入所者/宮﨑かづゑ さん)
「気に入っています、自分のこと。ハンセン病の元患者として、今日まで生きてきたということは、とてもいい道を歩いたと思っています」

(アーティスト/沢知恵さん)
「(ハンセン病の)もちろん負の部分、歴史もしっかり伝えたいけど、この人たち一人一人の輝きを、生涯かけて伝えていきたいと思っています。そこから私たちが学べることが多い気がするんですね。絶望の時、もう生きられないと思った時に、この人たちが残してくれた言葉や詩は、私たちを励まし続けてくれるのではないかと思います」

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