倒壊の恐れがあるものの所有者がいない空き家を行政が解体する「略式代執行」に、岡山県倉敷市が初めて着手しました。
(記者リポート)
「解体される建物は、交通量の多い県道に面しています。屋根の瓦は崩れ落ち、建物は傾いています」
「略式代執行」の対象となったのは倉敷市茶屋町にある築70年以上の空き家です。
2017年に近隣住民から「瓦が落下している」と倉敷市に通報があり、市は当時の所有者に対策を講じるよう指導していました。
しかし対策が取られることはなく、所有者は亡くなりました。そして倉敷市は、倒壊の恐れがあるとして、2022年6月に「特定空き家」に指定しました。
(地区の町内会長)
「いつ瓦が落ちるか分からない。近所の方も、崩れてくるか分からないということで心配していた」
倉敷市によると、この空き家は借地に建てられていて、法定相続人全員が相続を放棄しています。倉敷市は適正な管理が期待できないとして「略式代執行」による解体に踏み切りました。
倉敷市では、8892軒の空き家が確認されていて、このうち107軒が「特定空き家」に指定されています。
(倉敷市 建築指導課/寺内隆 課長)
「空き家の適正な管理というのは、所有者の責任であるというのが大原則なので。市で力を入れている相談会や、セミナーに参加していただき、今後しっかり空き家の適正化に務めていただきたい」
今回の解体費用315万円は請求する先がないため、市が負担することになるとみられています。