Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」です。今回は「年賀状」にまつわるハテナです。
旧年中の感謝と新年の挨拶としてお世話になった人などへ送る「年賀状」。11月1日には年賀はがきの販売が始まり「送る準備を始めた」という人もいるのではないでしょうか?
そんな年賀状への疑問が……。
「年賀状はいつ始まったの?」(みいか 40歳 高松市)
国内外の郵便に関する資料約400点などを展示する郵政博物館の冨永紀子学芸員に聞いてみました。
(郵政博物館/冨永紀子 学芸員)
「まず年賀の風習は、だいたい『大化の改新』の時代の時から、朝廷の方に年賀の年明けのごあいさつをするという風習があった」
冨永さんによると、1400年ほど前、当時の天皇に配下の者たちが新年のあいさつをしたことが「年明けのあいさつの始まり」とされています。
平安時代になると平仮名や片仮名が普及し、手紙での年明けのあいさつ、つまり年賀状が始まったと言われています。
(郵政博物館/冨永紀子 学芸員)
「今でいう手紙の書き方、そういった本が出ている。そこに年賀の書き方、年明けのごあいさつの仕方みたいなものがあるんです。おそらく11世紀ごろには書かれていたと思われます」
初めのころの年賀状は貴族など身分の高い人同士が送り合っていたとみられます。それが江戸時代には飛脚制度などの発達によって庶民の間にも広まるようになりました。
その後、1871年に郵便制度が始まり、1873年に「郵便はがき」ができたことをきっかけに、年賀状は一般的な文化になっていきました。
(郵政博物館/冨永紀子 学芸員)
「年のあいさつというのが昔からあって、年が変わったら皆さんそれぞれ年始回りをしてあいさつをしたのが、郵便が発達したことによって直接お伺いするのではなくて郵便で年賀のごあいさつをしていた」
「お年玉付き年賀はがき、いつから始まった?」(ミント 47歳 善通寺市)
年賀状をもらったあとの楽しみの1つでもある「お年玉付き年賀はがき」。この始まりは郵便局とは関係のない1人の人物のアイデアがきっかけでした。
(郵政博物館/冨永紀子 学芸員)
「京都の人で、林さんという方。とある雑貨商をしていた一般の方が、下にくじを付けるともらった人もワクワクする、一石二鳥にも三鳥にもなるんじゃないかと思いついた」
お年玉付き年賀はがきの考案者は、京都で雑貨商を営んでいた林正治さん。
戦時中は資源の確保などの理由から中止となっていた年賀状。林さんは戦後、「通信が途絶えた状況のなかで、年賀状が復活すればお互いの消息がわかる」「年賀状にお年玉をつければ、夢もあるし、社会福祉にもなる」という思いから、当時の郵政省にお年玉付き年賀はがきのアイデアを提案しました。
そして、1949年に世界初のくじ付き郵便物「お年玉付き年賀はがき」が誕生しました。
これをきっかけに改めて年賀状文化が日本で広まっていきました。
ちなみに、過去最も多く「年賀はがき」が発行されたのは2004年用の約44億6000万枚です。その後はインターネットやSNSの普及などに伴って減少傾向が続いていて、2023年用の発行枚数は約16億8000万枚でした。
2024年用の「お年玉付き年賀はがき」は11月1日に販売が始まりました。
年賀状の受け付けは12月15日から。郵便局は元日にとどけるためには、できるだけ12月25日のクリスマスまでに出すよう呼び掛けています。
最後に、冨永さんに『年賀状のいいところ』を聞いてみるとーー
(郵政博物館/冨永紀子 学芸員)
「久しぶりに連絡を全然取っていない人からメールがくると『何か嫌なことでもあった?』とか思っちゃいませんか。年賀状で年1回だと『あぁ元気なのね』とほっとして見られますよね」