身の回りの物を整理するなど自分の死後に備えるいわゆる「終活」。この「終活」の形も時代とともに変化しています。
(金融広報アドバイザー/篠原也寸志さん)
「自分らしくとはどういうものなのかっていうのを見つめ直すのが一般的に定義づけられる終活」
11月、東かがわ市で高齢者向けの「終活講座」が開かれました。講師を務めたのは金融広報アドバイザーの篠原也寸志さんです。
財産や持ち物などを整理して自分の死後に備える「終活」。香川県金融広報委員会によるとコロナ禍が明けて以降、講座の依頼が増えているということです。
(参加者[72])
「相続税もそうなんですけど、医療とか自分のことを考えるのと同時に、相手のことも考えるのが大切だとわかった」
(金融広報アドバイザー/篠原也寸志さん)
「終活することによって自分自身を振り返って、終活と同時に自分のこれからの生き方を見直していけるというのがメリットかなと」
坂出市の秋山桂子さん(68)は、50代のころから「終活」を進めています。
(秋山桂子さん)
「若くても年いってても、あした生きてるか分からない。その時に迷惑かけたくなというか…家族にしろ友人にしろ。それだったら今できることはどんどんしていこうっていう考え」
今は、服や庭の植木などを少しずつ片づけています。
また、新たに買う「物」も最小限にしています。
(秋山桂子さん)
「基本『棺桶に入らないものは買いません』っていう」
このほか、秋山さんは「今やりたいことをやる」のも「終活の一つ」だと捉えています。
(秋山桂子さん)
「コロナの3年間と同じように3年間ってあっという間に過ぎていくなって思って、それだったらその年数で、行きたいところや会いたい人に会っておきたいなって」
さらに、今後進めたいと考えているのが、パソコンやスマホのデータなど「デジタル分野」での終活です。
(秋山桂子さん)
「絶対必要だなと思った。みんな使ってるけど、それ何かあったときにどうするのって。笑える写真とかね(整理したい)、自分は笑えるけどね、笑われたくないしね」
このような「デジタル終活」を進めたいという声は年々高まっていて、10月、高松市では「デジタル終活」の講座が開かれました。
この講座を主催した「シニアネットかがわ」によりますと、元気なうちにパソコンやスマホなどのパスワードや利用しているネット銀行口座を整理することが大切だということです。
高松市のIT企業、ビットコミュニケーションズは「デジタル終活」を事業化しようと計画しています。
(ビットコミュニケーションズ/川西健雄 代表取締役)
「昔だったら証券や通帳など目に見えるものがあったけれど、今はスマホの中に全部入っているので、それが開かない限りは調べようがない。おそらくは今後そういうニーズが増えてくるんだろうなと」
現在、パソコン・スマホの画像などデータの整理や、IDやパスワードを聞き取って管理し死後に遺族に伝える、などの事業を計画しています。
(ビットコミュニケーションズ/川西健雄 代表取締役)
「お金の話もありますけど、思い出みたいなものもたくさんあると思うんですね。そういうのもお聞きしながら本当に大事なものを確実に残す」
時代とともに多様化する「終活」。金融広報アドバイザーの篠原さんは「できることから、自分のペースで進めてほしい」と呼び掛けています。
(金融広報アドバイザー/篠原也寸志さん)
「知って、自分ごととして捉えて、実行していくということを身の丈に合った形で実践してもらえたら」