香川県三木町がDV被害に遭った女性の情報を加害者側に漏えいした問題です。女性が町に損害賠償を求めた裁判で、町が謝罪して解決金を支払うことで和解しました。
訴状などによると、三木町は、元夫からの暴力被害を受けてDV等支援措置制度を利用していた女性の住民票の情報などを記載した「戸籍付票」の写しを2020年と2021年の2度にわたり元夫の代理人弁護士に交付しました。
2022年8月、女性は、精神的苦痛を被ったとして慰謝料など330万円の損害賠償を求めて町を訴えました。
裁判では、2023年9月に裁判所が「町が女性に謝罪し、DV等支援措置制度の充実のために努力することや35万円の解決金を支払うこと」などを盛り込んだ和解案を提示し、22日に和解が成立しました。
女性は、9月に和解案が示された後も伊藤町長が、「何を原因として結果を負えというのか分からない」と町議会で発言していたことから「本当に和解を成立させるべきなのかとても悩んだ」と話しました。その上で、DV等支援措置を利用せざるを得ない町民が安心して暮らせるよう町に対応を求めました。
(原告の女性)
「どうして2回もこのような事故が起きたのかをしっかりと検証し、その検証結果を町民に公表することを求めます。そのうえで、再びこのような事故を起こさないための改善点を町民に説明してほしいです」
三木町の伊藤町長は、FAXでコメントを出し、「原告の女性に謝罪する」とし、「ダブルチェックや担当窓口課の責任者で構成する審査会において交付の可否を判断するなど再発防止に向けて厳格な対応を行っていく」としました。
また、女性の代理人弁護士である佐藤倫子さんは、今回の件を受けて、県に要望書を提出しました。その中では、「DV等支援措置の事案については、住民票の写しなどを交付の申し出があった場合、依頼者が誰かを確認するのは自治体の当然の義務であること」を県内すべての自治体に周知するよう求めています。