DV被害に遭った女性の住所などを香川県三木町が加害者側に漏えいしたとして、女性が町に損害賠償を求めていた問題。三木町は6日、町議会に和解に向けた議案を提出しました。
訴状によると、2016年、元夫からDV被害を受けていたとする女性が、三木町にDV等支援措置を申請し、その後も毎年措置の延長を申し出ていました。DV等支援措置では、代理人を含めて「加害者側に住民票の写しなどを交付できない」となっています。
しかし、三木町は元夫の代理人弁護士に対して、女性の住所などを記載した「戸籍付票」の写しを誤って2回交付しました。
このことから、女性は三木町に330万円の損害賠償を求め、2022年8月に提訴しました。
これに対して町は「誤交付による実害はなく、精神的苦痛があったとは言えない」「弁護士に依頼した人物が加害者かどうかを町が確認する義務はない」などとして請求の棄却を求めていました。
町などによると、2023年9月に裁判所が和解案を提示し、10月に双方が和解に応じる方針を示しました。
12月6日、三木町は町議会に和解に向けた議案を提案しました。
(三木町/伊藤良春 町長 6日)
「双方協議を重ねた結果、合意に達したことから、和解することについて議会の議決を求めるものであります」
和解案には、35万円の解決金のほか、町から女性への謝罪や、今後制度の充実へ努力するなどといった内容が含まれています。
この和解案について議員からは……。
(三木町議会/市原信夫 議員)
「和解条項の中で支援措置の充実に努力するとあるが、どのような形で(支援制度などの)事務処理を行うのかお聞きしたい」
(町の担当者はー)
「窓口担当課の責任者で構成する審査会を設置し、審査機能を強化し、制度の趣旨を踏まえた対応に努めているところであります」
町を訴えている女性は代理人弁護士を通じて、「謝罪が入った和解案で合意に至ったことはよかったと思うが、これまでDV加害者と同じような言い分を重ねて二次被害を生んだことを恥ずかしいと思ってほしい」「今後はDV被害者や女性など社会的に弱い立場に立って物事を考えてほしい」とコメントしています。
和解案は12月14日に採決され、22日の裁判で正式に和解が成立する見通しです。