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大島の国立ハンセン病療養所で歌手・沢知恵さんが22回目のコンサートを開催 入所者も歌を披露 香川

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 高松市の大島にある国立ハンセン病療養所で、歌手の沢知恵さんが22回目のコンサートを開きました。

 24日にハンセン病療養所「大島青松園」でコンサートを開いた岡山市在住の歌手、沢知恵さん。入所者や招待客ら約80人を前に13曲を披露しました。

 フォーク・シンガーの中川五郎さんと2人の入所者がゲストとしてステージに立ちました。

 大島青松園の盲人会の歌を披露したのは92歳の松本常二さん。

 そして、84歳の森和男さんは、かつて瀬戸内市のハンセン病療養所「長島愛生園」にあった高校の校歌を歌いました。

 1955年に開校した「岡山県立邑久高校 新良田教室」。全国で唯一の「入所者のための高校」として、社会復帰に向けたさまざまな授業が行われていました。

(大島青松園入所者/森和男さん)
「学校のことなんか話せないし校歌なんか忘れてしまいたいというか」

 ハンセン病は感染力が非常に弱く、戦後には完治する病気になりましたが、社会の差別や偏見がなくなることはありませんでした。

 森さんは新良田教室を卒業して進学、就職を果たしましたが、自分がハンセン病の元患者だとは決して言えなかったといいます。

(大島青松園入所者/森和男さん)
「私自身は、自分が新良田教室の卒業生だということを社会で答えられなかった、そうせざるをえなかったことを思い起こすわけですよね。それでも我々病を持った子どもらにとっては(新良田教室は)1つの希望だった」

(島外からの招待客は―)
「入所者の方と沢さんとのお話が印象的でした」
「とても心に残るような演奏でした」

 子どもの頃から交流がある大島青松園でコンサートを続け、ハンセン病療養所の音楽文化の研究にも取り組んでいる沢さん。入所者の高齢化が進む中、今回のステージに込めた思いは……。

(歌手/沢知恵さん)
「今年は残そうと思って臨んだコンサートでした。終わりゆく療養所で今でしか残せない記録があると思って。療養所で生まれた歌を歌っていただいたことは私にとっては大きな思い切ってのことでした。空気感みたいなものも残し伝えることができたら。きょう来たお客さんはそれを受け取って帰ってくれたと思う」

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