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【解説】まもなく瀬戸内国際芸術祭が開幕 過去最多の来場者を予想…混雑対策は?

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 6回目となる瀬戸内国際芸術祭が18日に開幕します。コロナ禍も明け、過去最多となる来場者が予想され、懸念されるのが観光公害、オーバーツーリズムです。その対策とは?

 3年に1度開かれる現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。2010年から瀬戸内の島々を舞台に開かれていて、6回目となる今回は春・夏・秋会期あわせて107日間開かれます。

 今回は新たに、香川県さぬき市と東かがわ市、宇多津町が加わり全部で17のエリアを会場に60組を超えるアーティストが参加します。

 18日から始まる春会期は5月25日までの38日間で10のエリアで行われます。

 夏会期は8月1日から31日までで今回、新たに加わったさぬき市と東かがわ市も会場となり11のエリアで行われます。

 さらに秋会期は10月3日から11月9日までの38日間で今回初の宇多津エリアが入り14のエリアで行われます。

(香川県/池田豊人 知事・1月)
「2019年以上の来場者も想定される」

万博と同時期開催で過去最多の来場者予想

 今回はインバウンドの回復や、13日に開幕した大阪・関西万博と時期が重なることなどから、来場者は過去最多だった2019年の延べ118万人を上回る見通しです。

 そうした中、懸念されているのが観光公害、「オーバーツーリズム」です。

 2019年はゴールデンウィークなどに、フェリーやバスに乗れない、いわゆる「積み残し」の人で大混雑。フェリー会社などが「臨時便」などの対応を迫られました。

 それを上回ると予想される今回。一部のフェリーでは休止や減便となってしまった航路があります。

 新型コロナの影響で利用客が減ったことや船員の確保が難しいことなどから、小豆島町の草壁と高松を結ぶ航路は休止するなどしています。

 一方で、四国汽船が運航する高松ー直島を結ぶ高速船などは積み残し対策として期間中に「増便」を予定しています。

「バス」強化で満足度アップへ

 こうした中で今回、来場者の満足度アップを狙って島で特に強化させたのが……

(香川県 瀬戸内国際芸術祭推進課/今瀧哲之 主幹)
「船の増便は限界があるんですけど、バスが充実できればお客様がみられる作品が増えると」

 バスを強化した会場の一つが「小豆島」です。小豆島の観光客の推移をみてみると、前回は新型コロナの影響で少なかったものの、2013年、16年、19年と増えていて今回は2019年を上回る予想です。

 そんな小豆島には期間中に35の作品が展示される予定で既存の路線バスでは全ての作品を訪れるのは難しい状況でした。そこで……

(小豆島町 企画財務課/山下善範 課長補佐)
「池田港を中心として東西に西ルート東ルートという形で作品展開している地域を横断できるようにしようという仕組みで臨時バスを運行させていただく」

 西ルートを1日4往復、東ルートを1日4往復、臨時バスをほぼ毎日運行する予定です。小豆島町と土庄町瀬戸芸実行委員会が地元のタクシー会社に運行を依頼。事業費は2つのルート合わせて約2200万円です。

 このほかにも……

(松木梨菜リポート)
「作品が展示される寒霞渓には期間中に小豆島町が無料のシャトルバスを運行します」

 寒霞渓と草壁港を結ぶ無料シャトルバスは1日8往復するもので、町などが390万円をかけて瀬戸内国際芸術祭の期間中などに運行します。

 こうしたバスの運行によって来場者の移動をよりスムーズにすることで混雑の解消を目指しています。ただ臨時バスの実現は容易なことではありませんでした。

さらなる増便を計画も…運転手確保に課題

(小豆島町 企画財務課/山下善範 課長補佐)
「一部のタクシー会社では万博の方に運転手を派遣するなどしましてタクシー会社も厳しい状況ではあります」

 2024年4月に時間外労働の上限規制によりドライバーの業務時間が短縮されるなどし、運転手不足も課題に。ゴールデンウィークなどにはさらなる増便も計画していますが、簡単ではないようです。

(小豆島町 企画財務課/山下善範 課長補佐)
「繁忙期になりましたら臨時バスもこの便数では足りないということで大幅に増便しようかと検討しておりますけれども、運転手の確保の面でできないとこともありますので。タクシー会社の意向にそって増便していこうと考えています」

観光客が望むことは?

(観光客[埼玉から])
「ちょっと宿が少ない。来週から宿の人に聞くと満室みたいなんで」

(観光客[山梨から])
「こういうふうな混雑が予想されるからこうしてほしいとか。やっぱり情報を強化っていうか事前にあちこちの場所で分かるといいっていうのがありますよね」

 瀬戸内国際芸術祭の実行委員会は混雑対策として今、どれぐらい混雑しているかがわかるリアルタイムの混雑情報を発信し、来場を「平準化」しようとしています。リアルタイムで混雑を「見える化」する取り組みは今回初めて導入されました。

 ただやはり問題なのは島への移動手段「フェリー」での輸送です。過去最多となるのではないかといわれている来場者をどう輸送するかです。

専門家「人数制限をかけるような対策の検討を」

 四国運輸局によると前々回の2019年の瀬戸芸期間中のフェリー、旅客船の輸送人員は約212万人に上りました。

 ただフェリーなどは休止や減便が増えているのが現状です。観光学に詳しい専門家はフェリー対策についてどう分析しているのでしょうか。

(香川大学 経済学部/山崎隆之 教授)
「USJや東京ディズニーランドなどでは時間予約制の入場が試みられていると思いますし、関西万博でも時間予約での入場パスの発売をしている。これも混雑対策の一つ」

 今回の瀬戸芸での混雑対策について一定の評価をした上で、フェリー対策としての提案も。

(香川大学 経済学部/山崎隆之 教授)
「問題が起きてしまうと島の場合は臨時バスを出してどこかに連れていくことが海で隔てられていますのでできないですから。観光客のフェリーの乗船には予約が必要っていうような。人数制限をかける形で許容できる量を島に入れていく対策なんかも。一歩踏み込んだ対策として考えていかなければいけないかもしれません」

 実際にどれぐらいの来場があるかは始まってみないと分かりませんが、来た人たちにもう一度行ってみたいと思ってもらえるよう地元としておもてなしができる方法を一緒に考えていきたいと感じます。

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