夏の高校野球・香川大会の注目校を紹介します。2年連続の甲子園を目指す岡山学芸館。キャプテンは3塁ランナーコーチと伝令役を担う3年生です。どこまでも「チームのため」を貫くキャプテンの声が学芸館の原動力です。
2024年夏の王者・岡山学芸館。夏の甲子園では学校史上初となる「2勝」を挙げました。その経験者が多く残る中で、部員108人のチームを束ねるのは國近泰獅です。
(岡山学芸館/國近泰獅 主将)
「自分は技術もないですし、他の人に勝てる技術的なものもないので、とにかく鼓舞し続ける。そういうキャプテンだと思います」
(岡山学芸館/佐藤貴博 監督)
「私が監督やらせてもらって、キャプテンの選手がレギュラーではないのは初めて。彼の存在というのは、チームにおいては、人で言えば心臓。彼がどう動いていくかで、周りが鼓舞されて、いい方向いい方向に走っていける」
2024年夏、國近は2年生ながら伝令と3塁ランナーコーチとしてベンチ入り。チームに徹する前向きな声掛けや姿勢に監督や先輩も厚い信頼を置いていました。
実際に当時の練習でも…
(岡山学芸館/國近泰獅 主将・2024年7月)
「元気がなさすぎるので、いっちゃいます? しっかり声出すために、いくよ? 声! 声! 声、声、声! しゃあいくぞー!」
(岡山学芸館/國近泰獅 主将)
「今できることを、チームにできることを精一杯やって、3年生と最後まで長く、夏、野球がしたいなという思いだけでした」
そして、新チームになってからはキャプテンを任されました。
(岡山学芸館/佐藤滉起 捕手)
「この代では、國近しかいないという感じだったので、自分たちも國近に付いていこうと」
チームに欠かせないムードメーカー。実は、選手としてはけがに苦しめられました。
1年秋からAチームに入るも、2年生になる直前、右肩を手術し、全治6カ月。さらに、レギュラーをつかみかけた2025年の3月には、ボールが目に当たり網膜剥離。再び手術を余儀なくされました。
けがを経て気づいたのは、選手としての自分よりチームを優先することの大切さです。
(岡山学芸館/國近泰獅 主将)
「人間として甘かったところを神様が見てたじゃないですけど。自分の結果を気にしてしまった時期が一時期あったんですけど、その時も考えてみれば、チームはうまくいってなかった。あくまでチームのことを優先してやった後に、自分のことに目を向けるべきだなと」
どこまでもチームのために……。部員108人を束ねるキャプテンとして、野球ができない期間が長かったからこそ、伝えられることがあります。
(岡山学芸館/國近泰獅 主将)
「戦う気持ちとか、補助してくれてるやつへの感謝の気持ちとかっていうのは、行動とか目に見える形で見せないと、あいつらもおれらのためにやってやろうっていう気持ちにはなれないと思うから、ああいうやつらが報われるのは結果として最後、5試合勝って、岡山で1位になることやから、そこに向けて、ぶれないように、全員一つになってやっていこう」
七夕の短冊に書いた願いは「甲子園で勝つ 最後に笑う」。目標は2024年を超える甲子園ベスト8。キャプテンの笑顔と声が原動力です。
(岡山学芸館/國近泰獅 主将)
「みんないやでも緊張だったりとかあると思うんで、そういう時に自分の声で、やってやるぞと、心を燃やして相手に立ち向かっていってくれたらと思いますし、応援してくれてる仲間たちもたくさんいるので、そういう人たちの思いも背負って、自分は声を出し続けないといけないなと思ってます」