瀬戸内国際芸術祭秋会期の会場になっている香川県丸亀市の本島。過疎高齢化が進む中、島の関係人口を増やそうと空き家を改修して交流拠点を作る取り組みが広がっています。
丸亀港からフェリーで約35分の本島。多くの観光客が、レンタサイクルや瀬戸芸用のシャトルバスなどを使いながら、島内に点在する12点の作品を楽しんでいます。
港から歩いて5分ほどの泊地区には、島の人たちの古着をいかした新作がお目見えしました。
(野口真菜リポート)
「アート作品のすぐ近くでは、島内外の人が空き家や古民家を改修し、島内外の人のつながりを作る取り組みを行っています」
そのひとつが築約100年の古民家「旧宮本邸」です。10年ほど空き家になっていましたが、手を入れて新たな交流拠点にしようと、丸亀市のコスモ不動産や島の職人らが協力して改修しました。
現在は島の漁師一家が島ならではのグルメを提供。新鮮な刺身やしょうゆで味付けしたメバルの煮つけなど、その日取れた地魚を使った日替わりメニューが楽しめます。
(野口真菜リポート)
「身がしっかり詰まっていますが食感はフワッとしていて、懐かしさも感じるような優しい味わいです」
(キッチンうみ/芦内里美さん)
「すぐ目の前の海でいつも漁をするので、息子たちが取ったタコとか魚とか主人が取った魚をここで提供できたらというのが夢やったんです。今、かないました」
本島には最盛期は2000人ほどが暮らしていましたが、現在の人口は約230人。瀬戸芸に参加し始めた2013年と比べても半数ほどになりました。
(本島地区地域づくり推進協議会/冨木田 誠 会長)
「やっぱり高齢化はどうしても避けられない。瀬戸芸の前になるとたくさんの人が来たり、草刈りとかの整備にどんどん応援の方が来てくれたりするんですけど、人口が減ってきて、なかなか難しい状況になってきた」
瀬戸芸がない年でも、島と関わる人を増やすことで島を維持していきたい……。
そんな想いが徐々に広がり、東京から移住した女性が本島の祖父母の家を改修してパン屋さんを開いたり、宿泊しながら観光できるキャンピングカーのレンタルサービスやSUP体験が始まるなど、さまざまな取り組みが広がってきています。
(本島地区地域づくり推進協議会/冨木田 誠 会長)
「やはり瀬戸芸の期間だけじゃなくて、外部からいかに継続的に来ていただいて、その方と共に島を良くしていくような運動ができたら」
瀬戸芸の秋会期は11月9日までですが、泊地区などに点在する屋外作品の鑑賞や飲食店のグルメなどは会期が終わっても楽しめます。