岡山大学学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所)の杉本学准教授らは、12月16日、植物発酵エキスが人工胃液や人工腸液の中でマイクロプラスチックと結合することが分かったと発表しました。
海水中のマイクロプラスチックは魚介類に取り込まれ、それを人が食べることで体内に入りますが、体内への吸収リスクを減らし、健康被害を軽減できることが期待されます。
研究成果は8月に食品科学研究雑誌「Current Nutrition and Food Science」に掲載されました。
直径150ミクロン(μm)より小さいマイクロプラスチックは、腸管上皮細胞を通過し、体内に侵入します。杉本准教授らは37℃の人工胃液と人工腸液で浮遊する106~125μmのマイクロプラスチック粒子と植物発酵エキスを1時間振とうしました。その結果、植物発酵エキス5gの場合、人工胃液中でマイクロプラスチック100mgのうち74mgが結合しました。また人工腸液中では55mgが結合しました
対照的に食物繊維であるセルロースと難消化性デキストリンは、ほとんど結合しませんでした。
植物発酵エキスの一部の物質はプラスまたはマイナスに帯電しているため、胃液中の酸性下で荷電してイオン相互作用でマイクロプラスチックと結合したと推測されるとしています。
植物発酵エキスには機能が未知な物質が含まれ、これらの物質を明らかにすることで、効果的にマイクロプラスチックを排除できるサプリメントなどの開発が期待できるとしています。