香川大学医学部自律生理学の倉原琳准教授、李高鵬博士らの研究グループは4日、東京医科学研究所などとの共同研究により、炎症性腸疾患の慢性的な炎症と「細胞老化」が、深く関与することを明らかにしたと発表しました。
研究成果は、2026年8月19日に、学術誌「Engineering」に掲載されました。
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病に代表され、寛解と再燃を繰り返す慢性疾患です。炎症が治まらない患者も多く、なぜ慢性炎症が持続するのか解明が求められています。
一方、細胞老化は、強いストレスを受けた細胞が増殖を停止する現象ですが、炎症性腸疾患では、腸内の細菌嚢の乱れと細胞老化の関係が十分に分かっていません。
研究チームは、老化細胞を可視化できるマウスを用いて、老化細胞が、血管・間質系の複数の細胞集団に蓄積することを示しました。さらに、老化細胞を選択的に除去すると、細胞のエネルギー恒常性を調節する酵素の活性が回復するなどしました。これにより、老化細胞が単なる炎症の結果ではなく、炎症を持続させる1つの原因であることなどが明らかになったということです。
また、母乳由来のプロバイオティクスを経口摂取したところ、老化細胞の蓄積と炎症性シグナルを抑制したということです。研究チームでは、老化細胞が蓄積しにくい腸内環境をつくる治療につながる可能性があるとしています。