異例となる10時間以上に及ぶ会見を行ったフジテレビ。度々名前の挙がった日枝久氏(87)とは一体、どんな人物なのか。長年、取材する記者が解説します。
■異例「10時間超」フジ会見
フジテレビ 港浩一前社長(72) 「我々の対応が人権意識的にどうだったのかなということは不足していた可能性があるかなということは思います」
27日午後4時から始まり、日付をまたいで28日午前2時すぎまで、実に10時間24分もの間続いたフジテレビの記者会見。
フジ・メディアホールディングス/フジテレビ 嘉納修治前会長(74) 「長時間ありがとうございました」
この会見について中居氏の代理人弁護士に聞くと、「お答えすることはございません」との答えが返ってきました。
27日の取締役会に出席した文化放送の齋藤社長は、社外取締役7人で意見書を提出したことを明らかにしました。
フジ・メディアホールディングス社外取締役 文化放送 齋藤清人社長 「随時、取締役会を開催していただきたいとか、60日間何も発信もないということについては、社外取締役としてはそれでは良しとしない。焦りにも似た危機感というのは社外取締役としても持っている」
この長時間会見は、あちこちで議題に…。
立憲民主党 重徳和彦議員 「港社長が『人権への認識が不足していた』との発言がありましたが、説明が十分だったとは思いません。識者からは経営陣の体質、人権意識の欠如。総理はこの会見で公共メディアとしてのフジテレビが十分に説明責任を果たしたとお考えですか?」
石破総理大臣 「同社が説明責任を十分に果たすことが重要である」
経団連の十倉会長は…。
経団連 十倉雅和会長 「(Q.フジテレビの問題に関して?)おぉ…はい」 「人権問題に敏感というか嗅覚を鋭く持とうということが要求されている」
フジテレビ 港浩一前社長 「(Q.改めてどんな企業風土?)我々が若かったころとか20年ぐらい前、5年ぐらい前、色々、記憶さかのぼってこっち側に戻していくと、色々なことが緩かったりとか…」
■フジ“強い影響力”日枝氏とは
また、会見で繰り返し追及されたのは…。
フジ・メディアホールディングス/フジテレビ 嘉納修治前会長 「(Q.2人の辞任は世間からはトカゲの尻尾切りにしか見えない。日枝相談役への発言を皆さん恐れているように見えるが、本当に今後フジテレビ変われるのか?)業務執行は日枝相談役でいらっしゃいますので、相談役ですから業務執行はしないわけですね。きょうここに出席してないのはそういうことです」
フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビの取締役相談役の日枝氏が退くことはありませんでした。
日枝氏やフジテレビを20年近く取材する記者は…。
「経済界」編集局長 関慎夫氏 「(日枝氏の)眼鏡にかなわないことをしたら“どこに行かされるか”、そういう恐怖心は日枝さんの意向を第一に考えることにつながる。気が付けば自分に意見する人は誰もいなくなっているような、象徴的な例のような気がする」
30年以上にわたって実権を握り続けている日枝氏。これほど力を持ち続けているのは、なぜなのでしょうか。
「経済界」編集局長 関慎夫氏 「1980年に日枝さんはいきなり編成局長に引き上げられて強力に推し進めていたのがフジテレビの“軽チャー”路線であり、楽しくなければテレビでないっていう路線。視聴者に受け入れられて、80年代からフジテレビは視聴率3冠王をずっと取り続ける」
フジテレビの黄金時代を築いた日枝氏。2005年、ライブドアによるニッポン放送買収騒動が起きると、フジテレビの会長として買収を阻止し、会社を危機から救いました。
「経済界」編集局長 関慎夫氏 「日枝さんを見ていると本当に親分・子分というようなイメージがすごく強い人なので、子分たちを俺が守らなかったら誰が守るんだっていう意思。どんなものでも時代が経って陳腐化するし、高齢化することによって新しいことができないマンネリ化が進むということは大きいと思う。それがフジテレビにも起きていたということ」
若手社員から上がるのは厳しい声です。
フジテレビ社員(30代) 「日枝さんがいてもできることがないんじゃないか。存在が悪影響なら会社を去ることが彼にできることなのでは」