オウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で30年です。後継団体「アレフ」では麻原元死刑囚の音声を使うなど、いまだ強い影響力を持つ実態が見えてきました。
■地下鉄サリンから30年 遺族「悔しい思い」
事件で職員2人が犠牲になった地下鉄霞ケ関駅。花束を持った女性は当時、駅の助役だった夫を亡くした高橋シズヱさん(78)です。
駅助役の夫を亡くした高橋シズヱさん 「本当はこんな人生じゃなかったのにと思うと悔しい思いもあります」
「本当は、こんな人生じゃなかった」。
事件は今から30年前。東京都内の地下鉄で通勤時間帯の乗客らが無差別に狙われ、駅員を含む14人が命を落としたほか、6000人以上が重軽傷を負いました。
日野原院長(当時) 「これはシアン系のサリン」
地下鉄3路線で使われたのは猛毒のサリン。
事件を企てたのは…。
麻原彰晃元死刑囚 「皆さんはオウム真理教へ入るべきだと思います。というより、皆さんの選択肢は一つしかない」
教団制作の動画で信者を勧誘する教祖・麻原元死刑囚。
オウム真理教は有名大学を卒業した若者を幹部に据えるなど勢力を拡大。同時に、山梨県内に化学プラントを建設するなど反社会性を強めていました。
地下鉄サリン事件から2カ月。早朝の教団施設に捜査員が集まり、麻原元死刑囚が逮捕されました。
今年1月、オウム真理教の後継団体「アレフ」の施設です。玄関で呼び鈴が押されました。
職員 「公安調査庁です。立ち入り検査を行うので直ちに開扉して下さい」
応答がありません。
職員 「立ち入り検査の告知からまもなく5分が経過する。直ちに扉を開けなさい」
■アレフ いまも続く“麻原崇拝”
アレフが入信した信者に渡していたCDを再生すると…。
CDの音声 「麻原彰晃です。さあ、あなたはいよいよ入会なさいました」
麻原元死刑囚の声。
CDの音声 「教えの実践が伝授されたならば、すみやかにそれを実践するぞー実践するぞー実践するぞーと3度、決意しましょう」
後継団体の構成員は約1600人に上り、近年は新規構成員の7割以上を20代と30代の若者が占めているといいます。
施設内部の様子。祭壇の中央には麻原元死刑囚。
法務省によりますと、現在も修行の一環として麻原元死刑囚が「奇跡的な水」と位置付けた「甘露水」と呼ばれる水を信者に飲ませているといいます。
公安調査庁 調査第一部第二課 北村裕介第二課長 「団体の危険性が変わったわけではなく、残ったメンバーは今でも麻原の絶対的な影響下にあり活動を続けている。特にアレフなんかは、地下鉄サリン事件以降に生まれた20代30代の若者たちをターゲットに勧誘活動を続けていた」
今月20日、夫が命を落とした地下鉄霞ケ関駅で花を手向けた高橋シズヱさんは…。
高橋シズヱさん 「決して風化させないで、若い人たちをカルトから守ることを私たちもこれから続けていきたいと思いますので、ぜひこの事件のことを忘れないでいただきたい」