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「コメが主役」元精米店が飲食経営に奮闘 ふっくら“極上の炊飯術”

経済

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 コメの価格高騰が続く中、元精米店が始めた飲食店が今注目されています。コメが主役というコンセプトで、メニューは白米とステーキだけ。店主のコメに懸ける思いを取材しました。

■肉は「付け合わせ」!?

 21日、千葉県いすみ市で行われていたのはコメの田植え。植えているのは生育期間が短い品種で、順調にいけば7月にはおよそ500キロのコメが収穫される予定です。コメの高騰が続く中で待たれる新米の収穫。

 一方、値上がりの波に翻弄されながらも、コメに一方ならぬ情熱を注ぐ店がありました。

常連客 「やっぱりコメがうまい」 「ご飯が本当においしいので。甘くて」

 行列に並ぶ客が口々に絶賛する「コメの味」。店内に入ってみると、鉄板の上で肉厚なステーキを焼いていたのは、店主の大曽根克治さん。出来上がった料理を客のテーブルに持っていくと…。

大曽根店主 「お待ちどおさまです。“付け合わせ”のお肉です。」

 肉が付け合わせ?その後、炊飯器を開けて、ご飯をよそうと…。

大曽根店主 「お待たせしました“メインディッシュ”のごはん大盛りです」

 コメがメインで、ステーキが付け合わせだという、こちらの店は、東京・江戸川区にある「コメトステーキ」。メニューは店名の通り「米とステーキ」の1品のみです。

大曽根店主 「もともと僕が米屋だったんで、あくまでもおいしいご飯ありきのお店ってことですね」

 実はこの店、7年前までは大曽根さんの父親が経営していた精米店でした。

大曽根店主 「1999年6月の終わりに父親が脳梗塞(こうそく)で倒れて、そこからですね。(お店と病院を)1日2~3往復しながら『これはどうすんの、あれはどうすんの』と聞きながら」

 その後、大曽根さんが店の経営を引き継ぎましたが、うまくいきませんでした。

大曽根店主 「価格競争に飲まれちゃってもうからないんですよ。スーパーさんとかに卸すのがメインだったので余計その価格の競争の波にのまれたというか。段々、じり貧になってきて…終わってしまったと。倒産しちゃったんですね」

■「本当にもうからない」が…

 そこから飲食店に業態を変更して再スタート。その時に大曽根さんが大切にしたのが「コメをおいしく食べられる」というコンセプトでした。店で使っているコメは、精米店の頃から付き合いがある福島県会津産のコシヒカリ。

 おいしく炊くコツは、大曽根さんが試行錯誤の末にたどりついた量の水で浸し、一晩、冷蔵庫で寝かせることだといいます。

大曽根店主 「(水を)全部完璧に吸わしてあげた状態で炊くと、これはあくまでも僕の個人的な感想ですけど、おコメの持っている甘みとかうまいのが全部出る気がするんです」

 低温で一晩水に浸したコメは、むらがなくふっくらと艶のある炊き上がりに。多い日には1日3升も炊くという大曽根さん。しかし、近年、コメや肉の価格高騰で大曽根さんも店の経営に大きな影響を受けているといいます。

大曽根店主 「お客さんは来て頂くんですけど、本っ当にもうかんないですよ。米屋の時ももうかってなくて困ってたんですけど、また同じ状況になるとは思わなかったですね」

 経営的には厳しい状況ですが、その一方で、農家の現状をよく知る元精米店としては、別の思いもあると話します。

大曽根店主 「お米って年に1回しか収穫しないじゃないですか。それで、あの値段(高騰前の値段)だと、燃料代とかそういうのを引いちゃうと(農家は)余裕で赤字なんですよね。それを考えると、コメの値段は今ぐらい高い方がいいんじゃないかなと。お店を営業する上では、それは安いに越したことはないんですけどでも、うまいコメがなくなっちゃうと困るので。農家さんがあってのおコメなので。日本のコメはおいしいんで。ぜひ、おいしいお米をもっと食べてほしいなと思いますけどね」

(「グッド!モーニング」2025年3月22日放送分より)

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