ガザ地区の停戦に向け、仲介にあたるエジプトなどが新たな案を提示したという。そうしたなか、燃料不足から負傷者や物資を運ぶ役割を担ってきた「ロバ」が傷つくケースが相次いでいる。
■再び戦闘激化 ロバ傷つき…人道危機
イギリスのBBCは22日、パレスチナ高官の話として停戦交渉を仲介するエジプトとカタールが新たな停戦案を提示したと報じた。
イスラム組織ハマスによる人質の全員の解放と引き換えに、イスラエルが収監しているパレスチナ人を釈放し、5年から7年の停戦を実現するものだという。
ガザでの戦闘は、およそ2カ月間の停戦期間を経て、再び激化。さらに、3月からは支援物資の搬入停止でガザの人道危機は深刻さを極めている。
こうしたなか、イスラエル軍の攻撃を受け、けがをした人たちが病院に次々と運ばれてくる。けが人を乗せた台車を引いてくるのは、ロバだ。
物資の停止で燃料も入ってこなくなり、車を使うことができなくなった。そのため、古くから「市民の足」としてガザの人々を支えてきたロバを使っていた。
しかし今、そのロバも戦闘で傷つくケースが相次いでいるという。
移動診療所のリーダー サイフ・オールディンさん 「ロバがけがをすると、(一家は)唯一の交通手段を失い、生活が困難になります。ロバはただの動物ではなく、生きる上で欠かせないパートナーなのです」
去年3月、イギリスの慈善団体の支援でロバを治療するための診療所が設立され、これまでにおよそ6000頭を治療してきたという。
しかし、その診療所も先月ミサイル攻撃を受け、道具や医薬品のほとんどを失った。
サイフ・オールディンさん 「もし私たちが治療を止めれば、多くのロバが死にます。ロバが死んだら、誰が人々を助けるのでしょうか」
ネット上で被害を訴えたところ、1カ月でおよそ400万円が集まり、再び必要な物資をそろえることができたという。
サイフ・オールディンさん 「私たちは諦めません。立ち止まりません。人々やロバのために努力し、懸命に働く構えです。命を懸ける覚悟だってあるんです」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年4月25日放送分より)