参議院選挙の投開票まであと8日。一人区の和歌山選挙区では、保守は分裂、野党も候補を一本化できず熾烈(しれつ)な選挙戦が繰り広げられています。
■“紀州戦争”第2幕 保守分裂の選挙戦
7人の候補がわずか1議席を奪い合う、混戦極まる参議院選挙、和歌山選挙区。
和歌山選挙区は、自民党の二階俊博元幹事長の地盤で「二階王国」と呼ばれてきました。その父親の選挙地盤を受け継いだのが、三男の伸康氏(47)です。
二階候補は、地方創生を訴えるなかで、こんな政策も…。
「30年間、白浜の観光を支えてくれたパンダ、6月にいなくなった。30年間で1300億円もの経済効果をもたらしてくれました。日中双方協力して再開することが双方のメリットになる。これは堂々と訴えていきたい」
観光財源の獲得のため、和歌山に再びパンダを招くと主張します。
しかし、和歌山にはもう一人、自民党色の濃い候補がいます。それが、16年間、地元・有田市長を務め、自民党を離党して出馬した無所属、望月良男候補(53)です。
その望月氏を支持している大物議員、それが経済産業大臣として旧安倍政権に名を連ねた、世耕弘成自民党前参議院幹事長です。
世耕衆院議員 「望月さんがリーダーシップを発揮して、有田市認定みかん、有田クオリティーというのを作っている」
去年の衆議院選では、世襲の伸康候補と参議院からの鞍替えの世耕候補で議席を争い、二階王国を切り崩した世耕氏が勝ちました。
実は今年2月、自民党和歌山県連は保守分裂を避けようと、公認候補を決める投票を実施しました。
二階候補と望月候補が争い、二階候補が公認を獲得。この時、両陣営は「結果にかかわらず(選ばれた)自民党候補の必勝に尽力する」という誓約書を提出していましたが、望月候補が一転、無所属から立候補したのです。
そんな折も折、二階候補の応援に駆け付けたこの人が…。
自民党 鶴保庸介参院議員 「また運のいいことに、能登で地震があったでしょ」
自民党の鶴保参院議員の口から飛び出した失言。党内外から批判が相次ぎ、翌日会見で陳謝する事態となりました。
望月候補の応援演説で、世耕氏は…。
「冒頭、おわびから入らなければいけません。きのう、県選出の国会議員の一人が能登地震に関してとんでもない発言をしました」
思わぬところで足を引っ張られてしまった二階候補。支持者からも…。
「もう少し(鶴保議員の)態度が反省した感じがあったら、もっとよかったんじゃないかな」
“紀州戦争”第2幕。望月候補が訴えるのは、全国のモデルとなる地元和歌山の地方創生です。
「和歌山が日本のいろんな地方の課題を全部引き受けて、モデル的に全部チャレンジしていきます。県民の幸せ、国民の幸せ、このただ唯一の目的、政治の目的はそこです」
■野党も一本化できず 1議席めぐる熾烈な争い
一方、野党でも足並みの乱れが…。
当初、日本維新の会は、立憲民主党と候補の一本化で合意し、立憲は候補者を取り下げました。しかし、立憲の和歌山県連がこれに反発。自主投票を決めたことで、一枚岩ではなくなってしまったのです。
市議会議員から県議会議員へと押し上げてくれた支持層をさらに拡大し、維新の浦平美博候補(53)は、一気に国政へと打って出ます。
「社会保険料が引かれて、どうして手取りが減るんだ。どうやって生活をやっていけばいいんだ。だったら私たち日本維新の会は、これを逆転させよう」
和歌山県の資源を最大限に生かした一次産業の活性化を目指します。
参政党の林元政子候補(51)は、看護師で、訪問看護の会社役員を務めています。
「今、子育て中のお父さんお母さん、少しでも余裕ができたんでしょうか。私は、この高額な予算を投じる方向が間違っていると思うんです」
共産党の前久候補(69)は、党の県副委員長で、参院選は4度目の挑戦です。
「消費税5%への減税を実施するために、この15兆円は必要ですけれども、大企業と富裕層のみなさんに応分の負担をしていただく。これで財源づくりをしていきたい」
NHK党の本間奈々候補(56)は、保守分裂をチャンスに、自民党脱却の和歌山を。
不動産会社の社長、無所属の末吉亜矢候補(54)は、福祉を充実させ、地方創生を訴えています。
熾烈な票取り合戦は、いよいよ後半戦。各候補は無党派層の取り込みに最後の追い込みをかけていきます。
(「グッド!モーニング」2025年7月12日放送分より)