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【消費税減税と現金給付】与野党姿勢に温度差 “財源と制度設計”物価高対策の着地は

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ガソリン税の暫定税率廃止に向けた動きが再び活発化する中、参議院選挙で掲げられた各党の「物価高対策」が今後どのように具体化していくのかが焦点となっている。消費税減税については、与党の自民、公明両党は、消費税率には手をつけず、1人あたり2万円以上の給付金によって物価上昇への緩和策を講じる姿勢を打ち出した。立憲民主党と日本維新の会は、国民の生活に直結する「食料品」に対象を絞り、期間限定で消費税をゼロとする案を掲げた。同様に、日本保守党も食料品の消費税をゼロにすべきだと主張した。国民民主党は、実質賃金が持続的にプラスへ転じるまでの期間に限り、消費税率を一律5%へと引き下げる方針を示した。一方、参政党とれいわ新選組は、現行の消費税制度そのものを廃止すべきと訴えている。共産党もまた消費税の廃止を目標に掲げているが、当面は税率を5%へと緊急的に引き下げ、生活への直接的な支援を急ぐ方針を主張している。

消費税減税の実現可能性を左右する要素として、浮かび上がるのが「財源」。立憲民主党は、「積み過ぎ基金の取り崩し」や「外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金活用」などで財源を捻出する方針を示している。日本維新の会は、税収の自然増収による「上振れ分」を財源とし、新たな借入れ等に依存しない減税実施を目指す。国民民主党は、「国債の発行」に加え、「特別会計の剰余金」なども組み合わせて柔軟に対応する構想を掲げる。一方、日本保守党は「消費税を下げれば日本経済は復興する」との立場から見解を示している。参政党は、「国債の発行」とともに「行政コストの削減(コストカット)」を主要な財源と位置づけている。れいわ新選組は、「法人税の累進化」や「金融所得への課税強化」、「国債発行」など多層的な財源確保策を打ち出している。共産党は、最終的な廃止を視野に入れつつ、「大企業や富裕層への行き過ぎた減税や税の優遇措置をやめる」ことで財源を確保するとの立場を取る。

こうした中、7月29日には国民民主党の玉木雄一郎代表が、消費税減税を巡り、「時期や対象を含めた、ある程度、コンセンサスを得ていかなければ、法案が通らない」と述べ、政策実現に向けた野党間における議論の必要性を強調した。一方、石破総理はかねてより、消費税減税に否定的な見解を繰り返してきた。6月23日には、「医療・年金・介護の財源である消費税を、安定財源なしに減税するような無責任なことはできない」と発言。さらに6月30日には、「消費税は社会保障の財源。安定財源なしに消費税を減らすことになったときに、社会保障はどうなるのか」と見解を示した。財務省によると、2024年度の一般会計では、社会保障関係費は歳出全体の中で37.7兆円を占める一方、消費税収は23.8兆円にとどまり、すでに消費税だけでは社会保障費を賄いきれていない状況となっている。

自民・公明両党は7月29日、現金給付の実施に向けた本格協議に乗り出した。自民党の森山幹事長と公明党の西田幹事長が会談を行い、給付の具体的な制度設計を進めることで一致。年内の実施を視野に、早期に制度案をとりまとめる方針を確認した。会談後、西田幹事長は、「年内に給付を開始できるようにしたいと提案した。そして与野党でしっかり協議をして賛同いただける形で出さなければいけない」と述べ、超党派での合意形成に意欲を示した。こうした動きに対し、野党の対応が焦点となる中、石破総理は7月21日、「(立憲民主党の)野田代表がおっしゃる給付というのは、自民党が選挙中に主張してきたことと重なる部分も多々あろうと考えている」と述べ、政策面での立憲民主党に協力を求める可能性に言及した。

★ゲスト:木内登英(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)、久江雅彦(共同通信特別編集委員)、牧原出(東京大学先端科学研究センター教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

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