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大川原冤罪事件で検証結果公表 「捜査指揮系統の機能不全」警視総監が謝罪

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 機械メーカー「大川原化工機」を巡る冤罪(えんざい)事件で、警視庁が「捜査指揮系統の機能不全によって逮捕に至り、違法とされるという大きな過ちとなった」などとする検証結果を公表しました。

 これを受け、迫田裕治警視総監は会見し「本件捜査によって、多大なご心労、ご負担をお掛けしたことについて深くおわび申し上げます」と謝罪しました。

 「大川原化工機」を巡っては、機械を不正に輸出したとして社長らが逮捕・起訴されましたが、その後、取り消されました。

 社長らが都と国を相手に起こした裁判では東京高裁が捜査の違法性を認めて賠償を命じ、その後、判決が確定しました。

 警視庁は一連の捜査の検証のため、副総監をトップとする「検証チーム」を設置し、捜査の過程で作成された書類の精査のほか、当時の公安部幹部らへの聴取を行うなど、検証を行いました。

▼公安部幹部への報告が形骸化「実質的な捜査指揮がなされず」

 7日に公表された検証では、「警視庁公安部の捜査機関解釈に対して、経済産業省が疑問点を示していたにもかかわらず、その合理性を再考することなく捜査を進めた」と捜査上の問題点をあげています。

 そのうえで、法令解釈に関する議論を継続するなかで「立件に向けて捜査を進めることの適否について慎重な検討がなされるべきであった」と指摘しています。

 また、当時の公安部長ら幹部に対して、捜査の大まかな概要などしか伝えられないなど報告が形骸化したものとなっていて、「公安部幹部によって実質的な捜査指揮がなされず、捜査班における捜査方針が単に追認されている状況にあったとみられる」としています。

 あわせて幹部らについては、捜査状況の適時・適切な報告がなかったとしても、全体の状況を俯瞰して問題点を把握する立場にあるとして、責任を免れることはできないと指摘しています。

▼「捜査指揮系統の機能不全」再発防止へ

 こうした点を踏まえて、警視庁では、公安部長が主宰する「部長捜査会議(仮称)」を新たに導入し、捜査上の消極的な要素や全体の状況を報告する機会を設けるなど、再発防止策を打ち出しています。

 今回の問題について、警視庁は「捜査指揮系統の機能不全によって逮捕に至り、これが違法とされるという大きな過ちとなった」と言及しています。

 そのうえで、現場の捜査員が声を上げにくいとされる公安部の組織風土による弊害を減らし、立場にとらわれず意見交換ができる環境づくりを進めるとしています。

▼迫田裕治警視総監が謝罪会見「深くおわび申し上げます」

 この検証結果を受け、迫田裕治警視総監は7日午前10時半から会見し、「本件捜査によって多大なご心労、ご負担をお掛けしたことについて深くおわび申し上げます」と謝罪しました。

 そのうえで、「捜査上の問題点を総括すると公安部全体の捜査指揮系統の機能不全が最大の反省事項であったと考えております」と話し、「今回策定された再発防止策を着実に実施することで、公安部の業務に伴って生じる弊害を取り除きながら本件のような事案を2度と起こさないよう公安部全体の捜査指揮能力の向上に努めていく所存でございます」としました。

▼警察庁も検証を実施外事課職員らから聴取

 今回の事件では、捜査を行う警視庁から、警察庁外事課へ捜査状況の報告が行われていました。

 判決が確定したことを受けて、職員ら十数人に聴取するなど、警察庁でも検証が行われました。

 検証では「前例を踏襲するのではなく外為法上の法令解釈について全国的・統一的な基準を明確にするなどの観点から、経済産業省との協議に主体的に関与すべきであった」などと反省事項をあげています。

▼不正輸出事件の捜査で取り調べを録音・録画へ

 こうした点を受けて警察庁は、都道府県警察が不正輸出が疑われる事案の情報を入手した場合には、速やかに経済産業省に通知し対応を要請するなど、経済産業省と緊密に連絡・調整するよう求めています。

 また、不正輸出事件の捜査では、原則として被疑者の取り調べの録音・録画を実施するよう全国の警察に指示するとしています。

※この映像にはナレーションはありません。ご了承ください。

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