世界のメディアを前に、中国・ロシア・北朝鮮の蜜月の関係を見せつけた1時間10分にわたる軍事パレード。番組では、登場した全ての最新兵器を専門家と徹底的に分析。そこから、台湾有事が起きた際の人民解放軍のシナリオがみえてきました。 1時間10分にわたった軍事パレード。今回、登場した兵器の数は100種類を超え、中国軍はこのすべてが国産だと強調します。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「これが100式(戦車)と言われるものだと思いますけど、無人砲塔になっていると。自分で目標を探知して、弾も自動で装填するんですけど、人は操縦だけに専念をするという兵器になります。」 全兵器を徹底分析してくれたのは、駐中国防衛駐在官をつとめた小原凡司さんです。 (中国中央テレビ)「国家の主権、民族の尊厳を守る『戦略的切り札』である。」 中国中央テレビがこう解説するのは、核弾頭が搭載できる新型の大陸間弾道ミサイルです。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「今回初めて出てきた、この『DF61』については詳細な情報がありません。(現行の)『DF41』の後継機だろうと言われていますけれど、すでに『DF41』はアメリカ全土をカバーする射程を持っていますので、より大きな核弾頭部分を運搬するためのミサイルと考えることもできます。」 さらに大型の航空機から発射する長距離ミサイル。潜水艦から発射する弾道ミサイルも登場しました。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「空、海、陸のそれぞれの非常に大きな核兵器を持ってきたということは、アメリカに対して、中国は陸上発射型の核兵力だけではなくて、空からも海からもアメリカを攻撃できるという、中国の核攻撃が非常に脅威なんだと認識してもらいたいということなのだと思います。」 パレードには、見慣れない形の兵器も―。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「こちらが『LY1』と言われるレーザー兵器で、この青い部分からレーザーを発射するわけですけれど、これだけ大掛かりなレーザー兵器になると、破壊する力も大きいと思われますので、(艦船などの)ミサイル防御システムとして使用されることが想定されます。」 レーザーはどう照射されるのか。これはアメリカ海軍のレーザー兵器の試験映像。ターゲットにされた無人航空機が破壊される様子が映っています。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「光の速度と同じですから、探知をした途端にその目標に当てることができる。照射をし続ければ破壊することも可能ですし、短い時間であっても搭載している電子機器等にダメージを与えることができるというものです。アメリカが軍事介入をしたとしても、ミサイル攻撃をしても、中国はそれを撃ち落とすことができるということを示しているということだと思います。」 アメリカのミサイル防衛システムを回避する、“核魚雷”のような兵器も姿を見せました。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「AIと結合した核弾頭を搭載した攻撃機ではないかという分析もあります。自分で目標を選定して、爆発をさせれば、大きな津波まで起こすことができますので、艦隊は壊滅状態になる。海中にミサイル防衛はありませんので、魚雷を防ぐ手段というのはないんです。アメリカを抑止して、中国は実現したいことの第一は台湾のカッコ付きですが“統一”ということだと思います。」 習近平国家主席は軍事パレードの前、こう宣言していました。 (中国 習近平国家主席)「国家の主権と統一、領土の一体性を断固として守る。」 ここで示した“台湾統一”への意欲は、公開した兵器の種類にもあらわれています。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「これは台湾侵攻の際にまず撃ち込まれるであろう長距離ロケット砲ですね。」 さらにー。 「無人航空機部隊ということになります。ステルス性をもって探知を難しくし、撃墜を難しくした上で敵を攻撃するということが考えられていると思います。明らかに台湾を空爆するための兵器ということだと思います。」 台湾侵攻で大きな役割を果たすとみられるのが、これらの多種多様な無人機です。 「後ろに犬型のロボットが見えます。台湾の市街地を念頭において開発していると思います。」 同型とみられる、ロボット犬型無人機の映像では、巧みに4本の足を使って進み、階段でも倒れることなく、登っていきます。 去年5月に行われた中国軍の演習では、ロボット犬型無人機は、背中にライフル銃を装備。AIが自動でターゲットを見つけ、銃撃できるとみられます。 兵士よりも先に、敵の陣地に突入。生身の人間の代わりに、最前線で危険な任務を担うことになります。 小原さんは、中国が台湾に対し、こうした無人機を使った「自律型集団消耗戦」を仕掛ける可能性を指摘します。 (笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー)「(中国の)陸軍が上陸する際には、台湾の攻撃能力、抵抗力がなくなっている状態を作る必要がある。『自律型集団消耗戦』というのは、AIと結合された非常に多数のドローンあるいは無人機が、共に協調しながら敵に攻撃を加えるというもので、こうした四足歩行の無人機が大量に人の代わりに敵に襲いかかるということも考えられる。そのうちの多くが破壊されても構わないという戦い方です。」 台湾有事の際には、アメリカ軍は空母を中心とした艦隊を派遣するとみられますが、パレードではそれに対抗する兵器も披露しています。 「これだけ大きなブースターをつけていますけれど、さらにこのミサイル本体の下部に空気吸入口がついていますから、ここから空気を取り入れてエンジンを回して、さらに加速をすることが想定されているものです。マッハ5(音速の5倍)以上だとは思います。」 Q.それだけ速いと迎撃できる? 「いや、難しいと思います。中国はアメリカと戦争したいと思っていませんから、アメリカも中国と戦争したくないと思わせるために実力を示すということです。」 軍事的な圧力を強める中国について、台湾の市民は―。 (台湾の市民)「まだ生活に大きな影響はありませんが心配です。」 「ナーバスになりすぎる必要はないと思います。」 「もちろん心配ですが、どうしようもありません。」 台湾の軍事評論家は、軍事パレードの兵器を見て、脅威を感じたと言います。 (台湾の軍事評論家 施孝イ氏)「中国の兵器の性能はすでに欧米のものを超えています。台湾の脅威となる兵器がたくさんあり、無人機を憂慮すべきです。」 9月7日『有働Times』より
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