建築家・丹下健三が設計した旧香川県立体育館。民間団体が「公費を使わない再生」を提案する中、解体工事の業者を決める競争入札が5日開札され、1社以上が応札しました。
香川県教育委員会の淀谷教育長が臨時で記者会見を開き、発表しました。
(香川県教育委員会/淀谷圭三郎 教育長)
「開札の結果、応札がございましたので今後審査を行ってまいりたい。(Q.ほっとしている?)いや、そういうふうな感情を表現するのは難しいかなと思います。手続きを進めてきて、事実として応札があった」
旧香川県立体育館の解体工事の入札は9月2日から4日まで受け付け、5日午前9時半に開札しました。応札したのは「1社以上」としていて企業名と数は公表していません。
「入札後審査型の一般競争入札」のため、香川県が今後、施工実績や環境、安全対策の提案などを総合評価して落札企業を決定します。予定価格は9億2000万円余りです。
旧県立体育館を巡っては、建築家らが設立した「旧香川県立体育館再生委員会」が2025年7月、県から建物と敷地を買い取るなどして、民間の資金でホテルなどに再生することを提案していました。
(旧香川県立体育館再生委員会/長田慶太 委員長)
「(Q.応札があったことについて)文化をつくるべき一員だった建築業に携わる、僕も同じ一人として非常に残念だなと。県の判断を後押しする形になると思うので」
県は解体を急ぐ理由として2012年に行った耐震診断の結果、大地震の際に建物が倒壊する危険があることを挙げています。
一方、再生委員会は複数の専門家の意見をもとに「建物全体が倒壊する危険は想定されない」と主張。8月28日には県教委や県の担当課と面談し、安全性などについて意見を交わしました。
淀谷教育長は「引き続き再生委員会の話は聞く」とし、県の見解を改めて県民に説明する場も設ける方針を示しました。
(香川県教育委員会/淀谷圭三郎 教育長)
「しっかり説明は尽くしたいというふうに思っていますので、そういう場を設けさせていただけたらありがたい」
落札企業の決定には1カ月以上かかる見通しです。工事の契約を結ぶには県議会の議決が必要で、「判断のボール」が再び議会に渡ることになります。
(旧香川県立体育館再生委員会/長田慶太 委員長)
「今使われようとする10億円の意味も、結局県民に見える形で議論された形跡がないっていうことは事実なので、(契約の議決では)それぞれの議員の意見がちゃんと外に出てくればなというふうには思ってます」
また、再生委員会は解体工事の手続きの停止を求める「仮処分申請」や解体工事費の支出の違法性を問う「住民監査請求」を行う方針です。