海岸で保育士の女性を殺害したとされる男に判決です。男は被害者から100万円を超える借金も。
■保育士殺害 男に懲役21年
行仕由佳さんの息子(9)の手紙 「こわい。こわかった。ママのことユーチューブを見て待っていた。ママが帰ってこなかったから電話もした。何回もした。でも出なかった。その間もずっとこわかった。ママが帰ってくるのをずっとまっていた。ママに会えなくて悲しかった」
法廷で読み上げられたのは、残された9歳の息子の悲痛な手紙。
殺害された行仕由佳さん(当時35)は、シングルマザーとして子どもを育てる保育士でした。
事件が起きたのは去年4月12日のこと。
行仕さん 「職場に忘れ物を取りに行く」
行仕さんは、小学生の息子にそう言い残して外出しました。しかし翌朝…。
遺体を目撃した人 「あそこに警察官が立っていますよね。あの辺に女性の遺体が仰向けになっていた」
宮城県岩沼市の海岸で、行仕さんは遺体で見つかりました。
その後、行仕さんを殺害し、殺人と死体遺棄の罪で起訴されたのが元キックボクサーの佐藤蓮真被告(22)です。
検察側によると、佐藤被告は車で砂浜へ着くとペティナイフで行仕さんを数回刺し、遺体を波消しブロックに移動させ遺棄したということです。
また、佐藤被告は財布が入った行仕さんのショルダーバッグを盗んで持ち去り、財布の中の現金を抜き取ったとも指摘されています。
事件当時、佐藤被告の自宅から行仕さんの財布が押収されたほか、凶器とみられる刃物も市内の公園で見つかったということです。
交際関係にあったという2人…。
検察側 「被告人は被害者の好意につけこみ、100万円以上の金銭を借り入れ、その返済を先延ばしにするなど被害者を経済的に体よく利用していた」
佐藤被告は知人からも金を借りていたといいます。
佐藤被告の友人 「『1万円を貸して』みたいな感じで『どうしてもピンチでちょっと少しでもいいから貸してくれ』みたいな」
また、2人の間には借金の問題だけでなく、行仕さんに妊娠が発覚したことで口論になったことが裁判で明らかになっています。
行仕さん 「2人で育てていきたかったから、赤ちゃんだけは守りたかったから、できれば育てたい。お金返さなくていいから赤ちゃんと未来を守ってほしいです」
佐藤被告 「ごめん、1人で考えたい」
また、佐藤被告は偽名を使っていたといいます。
行仕さん 「私に偽名使っているの?」 佐藤被告 「偽名?何のこと?」 行仕さん 「遊びじゃないなら隠してほしくない」
また、検察側は結婚を迫られた直後に佐藤被告が「人を殺す薬」「波消しブロック 落ちるとどうなる」などと検索していた履歴や計画を書いたメモが残されていて「計画性があった」と主張しました。
9日に行われた論告で、検察側は「結婚を迫られたことから煩わしいと考え殺害に至った」として佐藤被告に懲役25年を求刑。
一方、弁護側は「結婚を激しく迫られ畏怖していたうえ『ジムに報告する』と告げられ、選手生命が断たれると考えて殺害に至った。反省の態度を示している」などとして「懲役20年が相当」と主張しました。
■9歳長男「ママを返して…」
これまでの裁判では、残された小学生の息子の手紙が読み上げられました。
行仕由佳さんの息子(9)の手紙 「さみしかった。会いたかった。今もさみしい。会いたくなる。ママのこと大好き。ママをきずつけた人へ。ママのことを返してほしい。ママに会わせて。どうしてママを傷つけたの?どうしてママだったの。勉強とかしてないときにママを思い出す。今ママに会えたらぎゅうしてほしい。抱っこしてほしい。大好きって伝えたい」
行仕さんの母親も…。
行仕由佳さんの母親 「何をしていても娘を思い出して泣いています。由佳を返してください。死刑を望みます」
佐藤被告は最後に「娘さんの命を奪ってしまい、申し訳ありませんでした」と謝罪の言葉を口にしたということです。
行仕さんを知る友人は…。
行仕さんの知人 國井梓さん 「行仕さんからもらった服で…。死んでしまった行仕はもうしゃべれないので、歯がゆかったし、しんどかった、聞いていて。行仕のためにも遺族のためにも厳重処罰しか求めていないです」
そして迎えた17日の判決。
裁判長 「刃先が心臓に達するほどの強さで刺し、抵抗できない被害者を何度も刺すなど、殺意は強固。思わせぶりな態度を取ることで被害者を経済的に利用し、自己の利害のために殺害に至った。動機は身勝手」
仙台地裁は、佐藤被告に懲役21年の実刑判決を言い渡しました。
また、裁判長は「被告人の言動には遺族らの感情を逆なでするところがあることは否めない。遺族らの苛烈(かれつ)な処罰感情に直面するなどして、被告人が改めて自らの犯した罪の重さなどに真摯に向き合い、反省を深めていくことが望まれる」としました。