香川県豊島の産業廃棄物が完全撤去されてから3月28日で1年です。この産廃撤去のために43年間にも渡り、国や県と闘ってきた豊島住民の記録をとどめた本『もう「ゴミの島」と言わせない』が28日出版されました。
本を書いたのは元香川県議で、廃棄物対策豊島住民会議のメンバー、石井亨さん(58)です。400ページに渡る大作で、28日、藤原書店から出版されました。
(『もう「ゴミの島」と言わせない』を出版/石井亨 さん) 「基本的には2つ意味があって1つは記録として、もう1つは産廃に限りませんが、大きな社会問題を1つの地域が負わされる。本当は国民の問題なんだけれど、それが、一部の人に負わされるというのがどうゆう現象を生んでゆくのか、住民運動って表面から見えている1つの形だけでなく、その中は何層にもなっているそういう部分が伝えられたらなと思い書きました」
石井さんの生い立ちとともに、国内最大級と言われた産業廃棄物を島から撤去するために、国や県と闘い続けた豊島住民の43年間に渡る運動の歴史が詳しく書かれています。
半世紀近くにわたり続いた住民運動の原動力は何だったのでしょうか?
(石井亨 さん) 「要所要所で中坊公平弁護団長が、いろんな表現を使って『人はどうあるべきか』ということを、問うている部分があります。それが豊島住民運動の柱だった」
豊島の産廃は去年の3月28日、島から完全撤去されましたが、今年に入って新たな産廃が見つかりました。今後は汚水の処理や建物の撤去などの事業が続きます。
石井さんは県議会議員を2期務めた後、高松市で暮らし、7年間豊島を離れていました。その間ホームレスのような生活も経験しました。そして去年春、豊島に戻りました。
(『もう「ゴミの島」と言わせない』を出版/石井亨 さん) 「これはどこかの島で起こった出来事ではなくて、1人1人のあり方の問題なんだと言うことを読み取って頂けるとありがたい」
豊島は去年の完全撤去後、秋には住民主体の記念式典も行い、再生に向け動き出しました。 新たに唐櫃で太陽光発電所建設の問題も起き、住民の大半が反対する中、事業者とこう着状態が続いています。この太陽光の予定地からは産廃も見つかりました。現在、県の指導で土地の所有者側による撤去作業が行われています。
撤去から1年。豊かな島を取り戻すために住民の動きはまだまだ続きます。