香川県のゲーム依存症対策条例について県民から寄せられた「パブリックコメント」の賛成意見に、同じ文言が多く使われていた問題です。賛成意見のほとんどが議会ホームページの「ご意見箱」から送られたものでした。さらに分析を進めると、複数パターンある「雛形」を使い回しながら連続して投稿している痕跡が見つかりました。
KSBが情報公開請求で入手したパブリックコメントの原本によると、無効となったものを含め賛成意見の8割、約2000件が提出先として案内していない「ご意見箱」からの投稿でした。中には、ごく短い時間で連続して投稿されたと見られるものもありました。
(記者/ご意見箱への投稿リポート) 「議会事務局に連絡した上で、試しにご意見箱から投稿してみます。氏名、住所、そしてご意見・ご感想のところに『テスト送信させていただきます』と記入し、確認画面に進みます。そして、内容を確認して『内容を送信する』をクリックすると…メッセージが送信できました。ここで、ブラウザの『戻る』ボタンを押すと先ほどの確認画面に戻りました。さらに戻るを押すと、先ほど入力した内容がそのまま残っていて入力がやり直せます。今回は、氏名と年齢だけ、私の名前からカメラマンの名前に書き換えて、内容確認。そして、送信すると…あっと言う間に、人だけを入れ替えて投稿ができました」
(記者) 「香川県議会です。先ほど私がテスト送信したものが議会事務局に届いていたので印刷してもらいました。送信日時は11時14分と16分。2分間で2件の意見を送ることができました」
ご意見箱からの賛成意見には「依存症」が「依存層」。「ご感想」が「ご感て想」という同じ誤字のものがそれぞれ20件以上ありました。 中でも「ご感て想」は、タイプミスして変換しても、一発でこんな漢字に変換されることはないので、疑問に思っていましたが、この投稿の仕組みであれば、何らかの拍子で元々のフォームにある「感」と「想」の間に「て」が入ってしまったのに気付かず、他の部分だけを書き換えて何度も送信した可能性が高そうです。
状況証拠的に、同一人物による投稿が強く疑われる「ご感て想」。その内容を分析するとさらに新たなことが分かりました。
ご意見箱から投稿された内容はほとんどが「賛成します」、「賛同します」という短い文ですが、以下のような複数の似たようなパターンの文言が添えられているものが多くありました。
・皆の意識が高まればいい ・明るい未来を期待 ・子供達に与える影響様々 ・判断の乏しい大人を生み出さない為に
KSBの集計で、この4つがそれぞれ120件以上ありました。たまたま重なるような表現ではないので少なくとも4人ないし、4つのグループがまとめて投稿した疑いを抱いていましたが…
(記者) 「『ご感て想』という誤字の投稿23件を送信時間順に並べました。2月1日の19時13分から19時40分までに送信されています。ご意見、ご感て想を見てみると、『賛成です』、『皆の意識が高まれば』、『明るい未来』、『影響様々』、『判断の乏しい大人』を、そしてまた『賛成します』、『皆の意識が』…多かったパターンが網羅され、しかもループするように送信しているんです」
つまり、多かったパターンは、別々の人やグループによるものではなく、極めて少数の人が送ったか、「雛形・テンプレート」のようなものが出回っていて、それを投稿した疑いが浮上したんです。
(香川県/浜田恵造 知事) 「県議会事務局からは、全く同じ文字が記載された投稿が多数寄せられている事実はあるものの、そのことが提出意見についての集約や誘導によるものかは分からないと聞いています」
20日の定例会見で浜田知事は、「提出された意見の扱いについては議会において判断されるもの」として知事としての感想や見解は述べませんでした。