全日本吹奏楽コンクールで3年連続金賞を受賞した岡山学芸館高校吹奏楽部。しかし、全国、岡山県ともにコンクールが中止になりました。強豪校が次に目指すものとは。
1日放課後、校舎中に音色を届けている岡山学芸館高校吹奏楽部。約3カ月ぶりの部活動でした。
練習場所のホールに楽器だけが寂しく残されていた5月25日。3年生でオーボエ担当の井上希乃歩さん(17)。1人で自主練を続けていました。
(吹奏楽部 3年生/井上希乃歩さん) 「もともとコンクールの自由曲候補だった曲なんですけど、それを今後あったら定期演奏会で使うって顧問の先生が言われてたのでとりあえずそれを練習しています」
岡山学芸館高校吹奏楽部は全日本吹奏楽コンクールに6年連続で出場、そして最高賞である「金賞」を2019年まで3年連続で獲得しています。
しかし5月10日、3年生にとって最後となるコンクールの中止が決まりました。
(井上希乃歩さん) 「先輩方を超えることを夢にずっと仲間と協力しながら頑張ってきたのも一生懸命やってきたのもありますし、ずっと支えてくれてコンクールを楽しみにしてくれた親にも演奏を聞いてもらいたかったので、大きな一つの目標でもあったコンクールの廃止が決定した時は、仕方のないことなんですけど悔しかった」
中学1年生でオーボエを始めた井上さん。「オーケストラみたいな演奏をみんなで作りたい」と強豪校である岡山学芸館を選びました。
1人で吹いているとモチベーションが下がりそうですが。
(井上希乃歩さん) 「次にみんなが集まったときに楽しい、いい合奏ができたらなと思って、もとの生活に戻ることを楽しみにモチベーションを上げて頑張っています」
(吹奏楽部 顧問/中川重則 教諭) 「こんにちは。動こうや、静止画像にしか見えへん」
この日はZoomを使ってのミーティングです。画面越しですが、顔を合わせるのはコンクール中止が決まって初めて。菱沼直部長が部員に思いを伝えました。
(菱沼直 部長) 「全国大会にも行きたかったし金も取りたいなって思ってたけど、それがどうやっても無理なので仕方がないかな。この学年の代が一緒に活動できるのはあと3カ月です。そんな中で『コンクールやりたかったな』とかそういうことを考えてる暇は、いい意味でも悪い意味でもないんじゃないかなというふうに僕は思っていて、運動部だったら『インターハイ出たかったな』とか『甲子園出たかったな』とか『最後の俺らの場なのに』とかって、多分みんな思ってると思うんだけど、まだでも自分達には発表の場が残ってる」
9月の定期演奏会に向け、前向きに進もうと仲間に声を掛けました。
学校が再開した1日。岡山学芸館高校でも生徒の声が響いていました。吹奏楽部も3カ月ぶりに部活が行なわれました。 しかし、部員約140人の吹奏楽部。練習場所のホールに全員は集まれないため、パートごとに分かれて練習です。井上さんも仲間の音に安心感を覚えているようです。
(井上希乃歩さん) 「戻ってきたなっていう感じもありますし、みんなの吹いたりする姿を見られるのがうれしいです」
そして、1年生の歓迎コンサートを金管・木管楽器に分かれて開きました。久しぶりに仲間と音を奏でた生徒たち。
コンクールの場が無くなった吹奏楽部にとって、9月の定期演奏会にかける思いはより強くなっています。
(井上希乃歩さん) 「定期演奏会で客席を感動させられる演奏を最後にできたらなっていうのを目標にやってます。みんなが楽しいっていうのが伝わる明るい演奏ができたらいいなと思います」
吹奏楽部は新たな目標に向かってスタートを切ったばかりです。