今年4月、全国で初めて施行された香川県のネット・ゲーム依存症対策条例は「憲法違反」だとして高松市の高校生と母親が県を相手取って国家賠償請求訴訟を起こしました。
訴えを起こしたのは高松市の高校3年生、渉さん(17)と母親(43)です。 香川県を相手取ってあわせて160万円の損害賠償を求めています。
条例は、インターネットやゲームの依存症への対策を定めたもので、香川県議会が議員提案して今年3月に賛成多数で可決。4月1日に全国で初めて施行されました。
家庭でのルールづくりの目安として「18歳未満のゲームの利用は平日60分、休日90分を上限」とするという文言が盛り込まれています。
(訴えを起こした/高校3年生 渉さん[17]) 「ゲームの時間っていうのは各家庭がしっかりと決めるべきであって、行政が決めるべきではない。ゲームはそんなに悪いものじゃないんだよっていうことは、一番強く皆さんに思っていただきたい」
原告は条例についてネット・ゲーム依存症の定義や、時間制限を設けることの科学的根拠が不明確であること。渉さんや母親の自己決定権など基本的人権を侵害していることなどが憲法に違反していると主張。 それにもかかわらず、県議会が条例の改正や廃止といった立法措置をとっていないのは、国家賠償法上、違法であるとしています。
また、条例が施行された4月は新型コロナウイルス感染拡大による休校や外出自粛要請でネットを利用したコミュニケーションがこれまで以上に行われていることも指摘しています。
(記者) 「全国的な注目を集めたこの条例には、制定前から様々な切り口で反対の声があがっていました。そんな中、条例の対象である17歳の高校生が行動を起こしたことに多くの支援が集まりました」
渉さんは、今年6月からインターネット上で裁判費用を募るクラウドファンディングを行い、2カ月間で1844人から600万円以上が寄せられました。
(訴えを起こした/高校3年生 渉さん[17]) 「支持者からの応援のコメントとかお手紙とかもいただいていますので、それも胸に刻んで、全身全霊でこの条例の裁判を行っていきたい」
被告の香川県は「訴訟については内容等の情報が来ておらずコメントは控えたい」としています。