高松市の書道家の男性が東日本大震災の被災者の言葉を「書」にしました。男性は今、「被災者の言葉」をより多くの人に届けようと取り組んでいます。
『おばあちゃん 泳げないのにいつまで海にいるの デイサービスの車が来るよ』
(書道家/池田秋濤さん)
「これがメッセージの言葉ですよね。ここにあるのが全部。これ読んだらすぐ涙が出てきてしまうっていうのがね」
高松市の書道家・池田秋濤さん(69)は震災の翌年、2012年に宮城県東松島市などの被災地を訪れました。
そして、土産用の紙人形などに被災者が書いたメッセージを目にしました。
(書道家/池田秋濤さん)
「これはすごい言葉があるなと思って。ぜひ集めて、みんなに知ってもらわないといけないと思って。このメッセージ展をやらないけんなと思って、始めたんですね」
(被災者が書いたメッセージ)
『がれきと一言で片付けないで 昨日までは自慢の家』
『波の音が子守歌だった 今でも海が好きです ここが私のふるさとだから』
池田さんは、被災者の言葉を書にした作品の展示会を38回開いてきました。
しかし、この1年は新型コロナウイルスの影響もあり、その機会がなくなりました。
(書道家/池田秋濤さん)
「ちょっとこのまま続けたんではいかんなと、だったらこっちから出向いて、小冊子を配って。それで何かを感じてもらう機会にしてもらいたいというので」
池田さんは今、冊子づくりの費用30万円を集めようと、ワークショップの準備を進めています。
冊子ができれば学校や図書館などに配り、一人でも多くの人に被災者の言葉を届けるつもりです。
(書道家/池田秋濤さん)
「ひとごとではないということを本当に考えてほしいというのが一番です。これ見て、ドキッとしたけど、ああなったらお前どうするんじゃって言って、そういう話を一つするだけで相当な人数の人が助かるんじゃないかなと思うね」