住み慣れた場所で新たな生活が始まります。2018年の西日本豪雨で被害を受けた岡山県倉敷市真備町に最初の災害公営住宅が完成し、入居者や家族に鍵が引き渡されました。
(倉敷市/伊東香織 市長)
「不安なことも多かったと思いますが、これから真備に戻ってきて、またゆっくり真備での生活を取り戻してもらえればと思います」
倉敷市の伊東香織市長が災害公営住宅の入居者らに部屋の鍵を渡しました。倉敷市は、2018年の西日本豪雨で被災し自宅の再建が難しい人に向けて、真備町に3つの災害公営住宅を建設しました。91世帯が入居します。
(入居予定者[74歳])
「とってもうれしいです。帰ってくるまでは頑張ろうと思って頑張っていたので、やっとこの日が来たなと思っているところ」
(入居予定者)
「やっと落ち着いて生活できるようになったと思います」
(記者リポート)
「災害公営住宅は浸水時、付近の住民が逃げられるように屋上が避難スペースになっています」
災害公営住宅・川辺団地は市営住宅の跡地に建てられた鉄筋コンクリート3階建てで、部屋の数は40です。
入居が決まっている父親の代わりに部屋の間取りを確認するために来たという岡部真理子さん。
(父親が入居予定/岡部真理子さん)
「あそこ(仮設住宅)はパパが歩けなくなってから、玄関が階段だから降りれない。ここだったらフラットだし、2階だけどエレベーターも付いているし。本当だったら来たかったんだろうけど」
真理子さんの父・尾合輝政さんは倉敷市真備町で写真家として活動。
西日本豪雨で自宅が全壊してからは真備町の仮設住宅で暮らしていましたが、体調を崩すことが増えました。
(尾合輝政さん[84])
「(災害公営住宅が完成したことで)安心して寝られる所ができたというのは一つの心の安らぎになる」
4月1日の入居日には間に合いませんが、4月上旬には退院できる予定だそうです。最近撮影したという「病床から窓越しに望む春空の流れ」の写真を見せてくれました。
(尾合輝政さん[84])
「今度元気になって(豪雨を)生き残った写真と、新しい写真で部屋を飾ろうかなと。それは希望でもあり夢でもある」
倉敷市によりますと、災害公営住宅に入居する人の半数以上が65歳以上の高齢者だということです。
岡山県によると、2月末時点でみなし仮設住宅など仮住まいで暮らしている人は513世帯、1184人です。