西日本豪雨の「復興商店街」。
被災した事業者に営業を続けながら再建を目指してもらおうと、岡山県倉敷市が真備町の「マービーふれあいセンター」の駐車場に建設しました。利用料は無料で入居期限は2019年3月から2年間でした。
5店舗が入居した一方で、業種がばらばらで客の回遊性が乏しいことや、閉店時間が店舗ごとに決められないなど課題も挙げられました。さらに集客面で追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスです。
完成当時、復興商店街で開かれた祭りには約3000人が集まり、地元住民の交流やにぎわいの場として期待されていました。しかし、新型コロナの感染拡大に伴い約1年間イベントは全て中止になり、訪れる人も激減しました。
完成して2年。2月28日に入居期限を迎え役目を終えた「復興商店街」で営業していた人たちの今を取材しました。
役目を終えた「復興商店街」 営業していた人たちの“今”を取材
倉敷市真備町有井の薬局は、2018年の西日本豪雨で入居していたスーパーが被災し閉店。
2020年11月、ようやく新たな場所でオープンすることができました。
(自然薬こやなぎ/小柳昇 店主)
「店がないと自分たちの仕事は成り立たないので、場所を提供していただいたことは感謝しています」
(訪れた客は―)
「店をやめられたらどうしようかなと。非常に助かってます」
豪雨で店を失った小柳さん(72)が頼ったのは、倉敷市が整備した仮設の店舗「復興商店街」でした。
小柳さんの薬局を含めて5つの事業者が入居し営業を続けながら店舗の再建を目指しました。
被災から2年余りで真備町での再建を果たした小柳さん。被災当時のことを普通に会話している時に豪雨を乗り越えたことを実感すると言います。
(自然薬こやなぎ/妻・康子さん[61])
「引退を考えた時期もあったけど、皆さんに恩返しをしながら頑張っていきたい」
(自然薬こやなぎ/小柳昇 店主)
「自分が持っている知識を役に立てていただいて、いつまでも元気でとにかく元気でいていただきたい」
「新型コロナがなかったら…」閉店を決めた店舗も
一方、復興商店街に入居していた酒屋「お酒本舗」。
約15年営業してきた真備町での再建を目指していましたが、商店街を退去するタイミングで閉店を決めました。
(お酒本舗スタッフ)
「一番に寂しい。お客さんの量もあるし立地の問題もあるし、帰ってきてる人が少ない。まだもう少しいたいけど次が決まらないと、退去しないといけない。しょうがない」
(「みのりや」/中原明 社長)
「(売り上げは)20分の1、わずか1日に何人か。われわれも甘かった」
中原さんは被災後も真備町での営業を模索しましたが、売り上げの低迷に加え条件に合う店舗が見つかりませんでした。
(「みのりや」/中原明 社長)
「悪い時には悪いことが重なるもんですね、新型コロナがなかったらまだ良かった」
商店街に入居していた時、中原さんが企画した日本酒「福興」です。
復興商店街は役目を終えましたが、復興への思いは引き継がれています。