甲子園を目指して熱く戦う球児の姿を伝える「甲子園へのキセキ~プロローグ~」です。
今回は岡山県、邑久の藤原充基選手です。2020年夏の大会後、3年生が引退すると藤原選手は野球部でたった1人の部員となりました。それでも単独チームでの出場を目指し練習を続けてきました。
2020年夏の大会後、残った選手は1人
2019年から2年連続で夏の初戦を突破した邑久。しかし、2020年4月に新入部員が入らず、夏の大会後に新チームに残った選手は、当時2年生の藤原充基選手、たった1人でした。
週末は合同チームを組む玉野高校と活動するものの平日は1人で練習に励みました。
(邑久高校 当時2年/藤原充基 選手)
「1人になるっていうのは分かってて、最初は辞めようかなっていう気持ちもあったんですけど、先輩たちに教えてもらった野球っていうのを次につなげていかないとという気持ちもありましたし、一度やったんだったら最後まで突き通したいかなって」
新チームではピッチャーを務める藤原選手。練習でボールを受けるのは河野正和監督です。
(邑久高校/河野正和 監督)
「(Q.キャッチャーミットかなり新しいですね?)これは藤原用に買いました。すぐ使えるように柔らかくしてもらったやつを。1人になって個別指導じゃないですけど、1対1でできるんで、細かいところまで指導もできるし、本人も向上心があって自分なりに考えながらやってるんで、それはすごいところかなと思います」
選手1人のため、バッティングもピッチングも練習の待ち時間は、なし。短い時間ながら濃密な練習で最後の夏へ自分を磨き続けました。
(邑久高校 当時2年/藤原充基 選手)
「大会に出れたらいいんですけど、できれば邑久単体で出てみたいなっていうのはありますね。部員集め頑張らないと……終わっちゃうんで」
部員は集まったのか――
大会まで1カ月を切ったこの日、邑久のグラウンドには多くの選手の姿が。
4月に1年生9人が入部し、単独チームで夏に臨めることになりました。
(邑久高校 3年/藤原充基 選手)
「前と比べて活気があって、1日の練習が楽しく感じます。去年の夏やってたみたいにバッティング練習ができるようになったのもうれしいし、1人でやってたことより練習の幅が広くなったので」
実は、邑久に加わったのは1年生だけではありません。2年生の谷選手は、2020年に放送したKSBの番組「白球のキセキ」で藤原選手が1人で練習する姿を見て入部しました。
(邑久高校 2年/谷有祥 選手)
「(野球は)小中やってました。もともと違う部活に入ってたんですけど、あまりできなかったんですよ。それでテレビで見て、1人だったので入りやすかったのもあるし、野球が好きだったので、みんなで楽しく笑顔でやり切りたい」
頼れる仲間が増え、念願の単独チームで夏に臨む藤原。最後の夏に躍動し、先輩から受け継いだ野球を後輩へとつなぎます。
(邑久高校 3年/藤原充基 選手)
「ヒットを打ちたいですし、それもありますし後輩に『邑久ではこういうのやっているんだぞ』っていうのを試合とかで見せていきたい」