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【特集】小型電気自動車を独自開発…産業用機械メーカーの挑戦 岡山・総社市

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 2022年1月、岡山県総社市の会社が独自に開発した小型電気自動車がお披露目されました。困難にぶつかりながら開発を続けた社長の思いと電気自動車開発を取り巻く現状をお伝えします。

小型電気自動車の開発を支える「強い思い」

 2022年4月11日、公道を走っているのは電気で走る小型の三輪自動車「eFalcon(イーファルコン)」。造ったのは総社市の産業用機械メーカー「コアテック」です。

 2016年に開発を始めてからここに来るまで、「コアテック」はさまざまな困難を乗り越えてきました。

 2020年9月。コアテックの工場の片隅で小型電気自動車「eFalcon」の開発が進められていました。

 小型電気自動車の開発はコアテックの社長・藤井茂さんの強い思いから始まりました。

(コアテック/藤井茂 社長)
「我々は設備メーカーなので、だいたい大手の自動車メーカーさんの工場の中にモノがあるんですね。そのため世の中の人や自分たちの子ども、従業員の家族の目に触れるようなものはほとんどないので、そういうモノができると、『あれはうちの会社が作ったものだ』というようなことになるので、何としても作りたいなというふうに思っています」

走行テストを繰り返し、改良を重ねて……

 藤井さんたちは走行テストを繰り返しながらハンドルの硬さなどを調整していました。

(コアテック/藤井茂 社長)
Q.製作の工程で言うと、どれぐらい?
「4合目ぐらいかな」
Q.まだまだ乗り越えないといけないことがいっぱいある?
「まだまだありますね。やはり法律のこともあるし、あとは安全性・耐久性のこともある」

 2020年10月。開発中の電気自動車はまだ公道を走ることができません。走行テストは交通公園で行われていました。このテストで開発に必要なデータを集めます。

(コアテック/藤井茂 社長)
「モーターのチューニングをかなりしたんで、最高速度がどこまで出るかと、何キロ走れるかをやろうかなと、8時間耐久を」

 ドライバーを務めるのは、社長の藤井さんを含む4人の男性です。

 平均年齢は67歳。自動車が大好きな“おじさま”たち。

 小型電気自動車の要になる電気系統の開発は秋山尚已さんが担っています。

(コアテック/秋山尚已さん)
「どれくらいの電圧の時にどのくらい電流を流したら、どれくらい回るっていうモーターの性能そのものを固定する必要があるんです。その固定する段階を今やっている」

 走行テストは、4人のドライバーが30分交代で運転して行います。

 走行開始から5時間半後。突然、異変が起きました。

(コアテック/藤井茂 社長)
「落ちました。お亡くなりになりました。突然電源が落ちたから、どういう状態だろうな」

 電源が落ちた原因は、「コンピューター」でした。

 小型電気自動車には、「バッテリー」と後輪についた「モーター」、そして「インバーター」という装置を積んでいます。「インバーター」は、バッテリーからの電気を制御してモーターの回転数を変えます。このインバーターを制御しているのが「コンピューター」です。

 今回のトラブルは長時間走行したことで「バッテリー」の電圧が下がり、コンピューターに電気を供給できなくなったことが原因でした。(この日のデータ:走行距離194キロ、最高時速約60キロ)

電気自動車製造に立ちはだかる“壁”

 電気自動車の構造は、ガソリン車と比べると一見簡単に思えます。しかし、製造には高いハードルがあります。

(コアテック/藤井茂 社長)
「駆動用に使う電池は法律の縛りもあって、われわれ自動車メーカーじゃないところは、こんなことを言っていいのかどうか分かりませんけれども、(バッテリー購入は)日本国内では不可能に近い状態ですね」

 コアテックは産業用機械を製造している縁で、国産のバッテリーをなんとか手に入れることができました。

 しかし、モーターは国産には適したものがなく、世界中を探して見つけ出したスロバキア製の1個200万円ほどする製品を使用しています。

(コアテック/藤井茂 社長)
「(電気自動車は)私有地で走る分には、誰でも作れると思いますよ。公道を走ろうと思うと日本では非常に難しいですね」

 公道を走る自動車には、高い耐久性と安全性が求められます。

 コアテックが取り組んでいるのは耐久性などのハードルが比較的低い「側車付二輪自動車」というカテゴリーでの電気自動車の開発です。

 側車付き二輪自動車のうち左右対称な乗り物は普通自動車免許で運転することができます。

 2021年2月。コアテックは小型電気自動車を公道で走らせるためにナンバープレートを取得する申請を行いました。しかし、結果は「却下」。

 「側車付二輪自動車」の規定に、さまざまな部分で沿っていないと指摘されました。

(コアテック/藤井茂 社長)
「こういうふうにあったやつ、これだとお尻が見えないので駄目だということで切った。前側もここにあったんだけど、これも切って、つま先が全部見えるように改造したんです。全部一からやり直してる」

「とにかく乗って楽しい車になった」

 そして改良を重ねた結果、2021年12月には「ナンバープレート」を取得。翌月にはお披露目会が行われました。

 「eFalcon」と名付けられた車は時速80キロで走ることができます。

(コアテック/藤井茂 社長)
「とにかく乗って楽しい車になった。1回の充電で280キロぐらい、その辺は楽しいと思います」

 コアテックは2023年度、「eFalcon」を販売することを目指してテスト・改良を重ねています。さらに、今回の挑戦で得たバッテリーの制御技術を生かして、モバイルバッテリーの開発にも取り組み始めました。

 社長の熱意から始まった「小型電気自動車」の開発が未来を切り開こうとしています。

(コアテック/藤井茂 社長)
Q.どうして開発されているんですか?
「夢」

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