香川県三豊市の酒蔵を改装した施設が、瀬戸内国際芸術祭の夏会期に合わせて現代アートを楽しめる場所に生まれ変わりました。
ずらっと並んでいるのは日本酒を造るのに使われていたタンクです。その中には、色鮮やかなペイントや繊細なタッチの絵が描かれています。
タンクが並んでいるこの場所は、もともと明治時代に創業した酒蔵です。三豊市詫間町の「三豊鶴」は2005年に廃業となった酒蔵を改装し、現在はゲストハウスやイベントスペースとして活用されています。
今回は瀬戸内国際芸術祭に合わせてアートとのコラボレーションに挑戦しました。
6月、県内外のアーティスト10人ほどが集まり、酒造タンクの中に筆を入れ始めました。
(関西のアーティストは―)
「(酒蔵の)空気感がやっぱり全部かっこいい」
「景色もいいし、酒蔵いい感じで」
アーティストたちの独創的な表現と歴史を感じる酒蔵のコラボ。この組み合わせで新しい価値を生み出したいと、この取り組みは始まりました。
(合同会社三豊鶴 代表社員/北川智博さん)
「歴史ある魅力的な場所を殺したくないと思って、僕たちはやってるので。止まってるって、仮死状態に近いですから。そう考えると動いて人に来ていただいたり、参加していただいたり、見ていただけるっていう、これだけでこの場所の価値を皆さんに共有できる。それが本当にうれしいなと」
8月5日、瀬戸芸の夏会期に合わせて「酒蔵Art Museum」の無料開放が始まりました。
(合同会社三豊鶴 代表社員/矢野太一さん)
「なかなかこれだけの作品を一つのところで見ることは、僕はないと思っています」
総勢23人のアーティストが参加。蔵の設備や雰囲気を生かして225の作品を展示しています。
この取り組みは、瀬戸芸の会場以外にも足を運んでもらおうという「県内周遊事業」に選ばれています。
初めて自分の作品を展示するという地元の若手アーティストも――。
(三豊市出身アーティスト/佐野和真さん[22])
「いつかは(瀬戸芸に)出てみたいと思っていたんですけど、まさかこんなに早く関わることになると思っていなかったのでうれしく思います」
(合同会社三豊鶴 代表社員/北川智博さん)
「経験値というよりも、この場所だから生み出せるクリエーション(創作)みたいなもののイメージを持てる方々に集まっていただいているので、フラットに多様な表現をこの酒蔵という場所だからこそ楽しんでいただけるんじゃないかなと思います」
「酒蔵Art Museum」は瀬戸芸の秋会期が終わる2022年11月6日まで、土日祝日を中心に無料開放しています。また、期間中は酒蔵の隣でさまざまなジャンルのシェフがつくる地元の食材を中心とした創作コース料理も味わえるということです。