病気や交通事故で脳がダメージを受けた後遺症による「高次脳機能障害」。「高次脳機能障害」からの社会復帰を支援する人たちを取材しました。
リハビリにたどり着けない人も…高次脳機能障害とは
事故や病気などで脳にダメージを負うと、その後、物覚えが悪くなったり気が散りやすくなったり、感情のコントロールができなくなったりすることがあります。これを「高次脳機能障害」と言います。
(高松協同病院/植木昭彦 副院長)
「傷ついた脳が元の形に戻るというのは難しいんですが、そのまま放っておくと脳の機能がどんどん落ちていってしまいますので、まずはやはりリハビリを利用して訓練していくことが大事です。繰り返しリハビリすることで脳の機能をまた活性化させて、障害に対して強い脳を作っていく意味でもリハビリは重要かと思います」
植木さんによると、この障害の患者は全国に約50万人いるとみられています。しかし、リハビリにたどり着けない人たちも少なくないそうです。
(高松協同病院/植木昭彦 副院長)
「記憶の障害とかで認識が落ちてしまうんですが、自分が高次脳機能障害でリハビリをしないといけないとわかっていない人も実は多い。厚生労働省が高次脳機能障害の相談窓口を各県に必ず1カ所作っている。まずはその相談窓口に、本人でなくても家族でも構わないので、連絡をして、相談につながるのが一番大事」
香川県の相談窓口は高松市田村町の「かがわ総合リハビリテーションセンター」です。
◆かがわ総合リハビリテーションセンター【087-867-7686】
現在は25人が社会復帰に向けて、言葉を聞き取きとったり公共交通機関で外出したりと、さまざまな訓練を受けています。期間は障害の程度によって変わりますが、1年半から2年ほどが多いということです。
(かがわ総合リハビリテーション事業団/理学療法士 森本順子さん)
「なかなか職場復帰も難しい状態の方でも、そういった高次脳とかのプログラムを続けることで、(復帰が)可能になるという可能性が広がると思います」
岡山県では「川崎医科大学付属病院」と「社会福祉法人 旭川荘」が相談窓口となっています。
◆川崎医科大学付属病院【086-462-1111】
◆社会福祉法人 旭川荘【086-805-3800】
当事者「まずは知ってほしい」
高松市の合田仁さん(44)は、「高次脳機能障害」の当事者やその家族を支援しています。合田さん自身も「高次脳機能障害」の患者のひとりです。
7年前に脳出血になりました。回復後、仕事に復帰しようとした矢先、「高次脳機能障害」と診断されました。
(かがわ高次脳機能障害友の会ぼちぼち/合田仁 会長)
「(Q.障害を知った時の気持ちは?)それはショックでしたね。やろうとしたことができないから。仕事が好きだったので、やっと仕事に行けると思ってワクワクしていたんですけどね、当時はね」
合田さんの場合、記憶力が低下したため、対策としてこまめにメモを取るようにしているそうです。
当事者や家族、支援者らで作る「かがわ高次脳機能障害友の会ぼちぼち」に3年前に入会し、現在は会長を務めています。
11月27日には高松市で「ぼちぼち」主催の講習会を開催。医師や当事者らの座談会のほか「高次脳機能障害」をテーマにした映画を上映する予定です。
(かがわ高次脳機能障害友の会ぼちぼち/合田仁 会長)
「やはり知ってほしいと思っているんです。僕はこの障害のことをみんなに。そこの思いが一番ですね」