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デジタル複製で“破損する前の状態”に 与謝蕪村の「幻の作品」24日から一般公開 香川・丸亀市 妙法寺

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 江戸時代に俳人・画家として活躍した与謝蕪村の作品が残る香川県丸亀市の寺で、「幻の作品」といわれる襖絵がデジタル複製され、本堂に納められました。

(野口真菜リポート)
「複製された襖絵、大きくて迫力があります。これまで見られなかった細かな表情まで読み取ることができます。二人の人物の間に流れる穏やかな空気もよみがえったようです」

 丸亀市の妙法寺に納められたのは、与謝蕪村が妙法寺に滞在した時に描いた「寒山拾得図」の複製です。縦約2mの大きな襖に、寒山と拾得、二人の人物が描かれています。

 妙法寺では貴重な文化財を多くの人に見てもらうため、デジタルでの複製に取り組んでいます。

 国の重要文化財の「寒山拾得図」は50年以上前に破られたり落書きされたりする被害にあい、一部が欠けた状態で複製される予定でした。しかし、文化財の調査研究などをする東京文化財研究所に、1959年に撮影されたモノクロ写真が残されていることがわかりました。この写真と、高い解像度で撮影した現在の状態の写真を合成し、色味などを調整することで、破損する前の状態の襖絵をよみがえらせることができました。

 寒山の顔は破損する前の状態に復活しました。拾得が纏っている衣服の風合いは、蕪村が描いた当時の紙の質感が映し出されています。

 また、元の襖絵と同じ位置で和紙を継ぎ足すなど、細部まで忠実に再現されています。

(東京文化財研究所/安永拓世さん)
「原本でも失われていたものがこういう形で、復元という形でお顔が戻ってきた。蕪村の筆遣いや筆触を感じ取っていただければと思います」

(妙法寺/大岡真祥 住職)
「蕪村公にも申し訳ないなという気持ちもございまして、この度、寒山拾得の顔がはっきりした状態で本堂に奉安できる、また皆さんにもご覧いただけることはお寺としてもうれしい限りです」

 寺に残る蕪村の作品6点は全て国の重要文化財に指定されていて、これまで「寒山拾得図」も含めて4点が複製されました。妙法寺では24日から4つの複製作品を一般の参拝者に公開します。(拝観料500円)

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