伝統は時代の最先端。全国各地の職人の「技」を感じることができる伝統工芸品の展示会が岡山市のデパートで開かれています。
岡山高島屋で開かれている「日本の伝統展」。伝統工芸品を手作業で作り続けている各地の職人にスポットをあてています。その緻密な手仕事や商品の素晴らしさを再認識してもらうのが狙いです。
会場には東京の江戸切子や岩手県の南部鉄器など、全国の22社から約1000点の工芸品が集められました。
(記者リポート)
「こちらは長野県の伝統工芸品、お六櫛です。全て手作業で行っているんですが、最初は1枚の板から始まっているんです。こちらでは職人歴50年の篠原さんが、ひとつずつ丁寧に作業を行っているのを見ることが出来ます」
江戸時代から伝わるこのお六櫛は、「ミネバリ」と呼ばれる希少な木で作られていて、長野県の無形文化財にも認定されています。
貝殻などで木にツヤを出し、椿油を染み込ませたお六櫛は、髪に静電気が発生しにくいのが特徴です。また、細い髪の毛でも傷みにくいと評判になり、今では欧米からの旅行客にも大人気だそうです。
(手挽お六櫛工房 篠原/篠原武さん)
「日本人が昔から使っているものだから、その良さを知ってもらえれば良い。使ってみて初めてわかる。良さが」
鳥取県の工芸品「弓はま絣」は、藍染めした糸を生地の土台にして、手織りでさまざまな模様を描きます。手織りをする事で糸に空気が含まれ、暖かく柔らかい生地に仕上がるのが特徴です。
今、一番売れ筋の商品が、弓はま絣で作られた座布団。その理由は――。
(記者リポート)
「うわあ! ものすごくフカフカで暖かいです。更に、動いてみても全くズレないんですね。ちょっとこれ私あとで買いに来ます!」
リモートワークが増えた若い世代に特に人気だそうです。
(ごとう絣店/後藤和文さん)
「伝統は時代の先端。次の時代に受け継ぐために常に今の時代の先端にいないと受け継がれない。みんなこの会場にいる職人は時代の最先端にいると思ってやっていると思います」
これまでの時代を彩り、今後も繋いでいく各地の工芸品。「日本の伝統展」は12月13日まで岡山高島屋で開かれています。