近年、岡山市の中心部に首都圏で人気のお店が相次いで出店しています。例えば、2022年9月には世界の食を扱うセレクトショップ「DEAN&DELUCA」が、3月には高級スーパー「紀ノ国屋」がそれぞれオープンしました。なぜ今「岡山」がこんなにも熱いのでしょうか。
天満屋岡山店にオープンした「紀ノ国屋」
3月に岡山市の天満屋岡山店にオープンした「紀ノ国屋」は、この日も多くのお客さんでにぎわっていました。
(紀ノ國屋/富田勝己 社長)
「天満屋さんは老舗中の老舗でございますので、昔からの固定のお客さまを抱えていらっしゃる。購買力もお持ちだと思いますので、そことマッチすることでわれわれの力も発揮できると認識しています」
この店の売りは「商品の品ぞろえ」です。
(松木梨菜リポート)
「一つの品目をたくさんの種類販売しているのもこちらのお店の特徴でして、ヨーグルトはこちらの面だけではなくもう一つの面でも販売されていて、その数約40種類です」
売り場には、自社ブランドを含めた約3600のアイテムが並んでいます。オープン後もお客さんの声をもとに取り扱う商品を増やしているということです。
(紀ノ國屋/富田勝己 社長)
「パンとかスイーツ系 手に取りやすい商品、それをまずお試しいただいて、こういうおいしさを提供する会社だと知っていただくと、そこからいろんな商品をご利用いただけると、紀ノ国屋の世界観が分かっていただけるので、当社の強みは商品力だと思っていますので、そこを皆さんにご提供していきたい」
紀ノ國屋の直営店が岡山県に出店するのは初めてです。近隣では広島県と大阪府に店があります。このことも「岡山」への出店を決めた一つの理由でした。
(紀ノ國屋/富田勝己 社長)
「もう少し物流・商品の動く量を増やしていかないとコストダウンにつながりませんので、そういう意味では広島と大阪の間に(岡山が)ありますので立地的にいい場所であったと、西の方に店舗を増やしていく上では重要な拠点だった」
天満屋側も紀ノ国屋の出店によってこれまでとは違った客層の集客に期待しています。
(天満屋岡山店 販売計画/細井修 部長)
「新しいお客さまにお越しいただくことで、食品フロアだけでなくお店全体の集客のプラスを狙っております」
天満屋によると、紀ノ国屋のここまでの売り上げは当初の目標の約1.3倍で推移していて、子育て世代や家族連れの姿も目立ってきているといいます。
(来店客)
「初めて来たんですけど、こだわった素材のものとか置かれているんでショッピングも楽しいなと思います。添加物が入っているかどうかとか、子育てし始めてより気にするようになったので」
岡山市北区の複合型施設にオープンした「DEAN&DELUCA」
(DEAN&DELUCA 関西エリア統括マネージャー/前田茂宣さん)
「私たちエリアパートナーって称してるんですけれども、一般的にはフランチャイズ契約、DEAN&DELUCAとしては今回初めての取り組み」
岡山市北区の複合型施設「杜の街グレース」に2022年9月にオープンした「DEAN&DELUCA」。
世界中の食を扱うセレクトショップで、全国に48店舗を展開していますが中四国では初めての出店です。
エリアパートナーとしてフランチャイズ店を運営するのは両備グループです。
(両備ホールディングス/松田典久 執行役員)
「岡山の魅力を全国に発信できる機能を有しているのが最大のポイントでした。地方色をより発揮できるお店づくりをしていきたいという思いがDEAN&DELUCAにもあったようで、瀬戸内の魅力を発揮できる店舗として作っていきたいと考えています」
総菜では岡山オリジナル商品の開発を進めています。
(両備ホールディングス/松田典久 執行役員)
「ここも瀬戸内の食材を使った商品、岡山ならではの商品を。これなんかそうですね、桃太郎トマトの」
総菜のほかにも――。
(松木梨菜リポート)
「こちらはパンの販売コーナです。店内で焼き上げていて今ちょうど焼き立てのものもきました。約20種類あるんですが、岡山店限定のものもあるんです」
この店舗がパンや総菜に力を入れるのには立地が関係しています。
(両備ホールディングス/松田典久 執行役員)
「立地的にオフィスビルが多く立ち並ぶ市役所筋ということもあって、『仕事前にコーヒーを1杯』とか、『仕事帰りに総菜をちょっと』とか、そういうところも多くご利用いただいているポイントかなと思いますけれども」
このほか「贈り物」の需要も高まっているということで、店舗の入り口付近に季節にあった商品を陳列しています。
現在は5月の「母の日」に向けたものを展開しています。
(両備ホールディングス/松田典久 執行役員)
「瀬戸内海の素晴らしい食材や商材を販売する店舗として、ほかの店舗様よりも、よりもといいますか、魅力的なお店づくりをしていきたい」
専門家は「街の活気」が関係していると分析
人気店が岡山市に相次いで初出店していることについて、地域経済に詳しい専門家は「街の活気」が関係していると分析しています。
(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「再開発は活気のある状況でもありますし、市街地の周遊やにぎわいが増えたりで、いろんな商業施設が杜の街グレースさんも含めて開発されているということは、地域の魅力が高まっているということなのではないか」
森脇所長はこのほかにも「人口の変化」が出店の要因だとみています。
2020年の国勢調査によると、岡山県全体の人口は5年前より3万3000人ほど減少しました。そんな中、岡山市は5年間で5000人以上人口が増えています。
また、岡山市の中心部ではマンション開発も相次いでいて、2023年は1000戸以上が分譲されるとみられています。
このほか、消費者の「購買意欲」の変化も出店を後押ししているようです。
(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「普段は手ごろなスーパーでの買い物で節約とかさてれいるような方でも、このコロナ禍でちょっとしたぜいたくを自宅で楽しむ方も増えてきたのではないかと感じています。景気が上向いているという消費マインドは、出店においても追い風になっているのではないかと思います。外出とか旅行がある日常が戻ってきた気分的なものとかがプラスに働いているのではないかと考えられます」
岡山市中心部では、2023年9月には新たな市民会館ハレノワがオープンしたりと、さらなるにぎわいが期待されます。