香川県丸亀市に半世紀近く親しまれてきた天体望遠鏡があります。この望遠鏡を使って毎月観測会を開いているのは、自身も幼いころにこの望遠鏡で宇宙の魅力を感じた男性です。
高さ日本一の石垣を持つ丸亀城。そのすぐ近くにある丸亀市生涯学習センターには屋上に白いドームがあります。このドームは一部が開閉式になっていて、中央には古い天体望遠鏡が設置されています。
その望遠鏡を慣れた手つきで操作するのが、丸亀市の会社員、松野俊博さん(48)です。
天体望遠鏡は49年前、1974年の11月、施設の開館に合わせて設置されました。京都の西村製作所製の「屈折望遠鏡」で長さは2m程あります。
(松野俊博さん)
「今(の天体望遠鏡)はコンピュータ制御になってきているので、ちゃんと調整すればあとは大体合わせてくれる。これは完全に自分で合わせなくてはいけないので暗い天体とかは難しいです」
松野さんは小学校低学年の時に生涯学習センターで開かれた天体観測会に参加。この天体望遠鏡と初めて対面しました。
(松野俊博さん)
「僕が子どもの頃に最初に宇宙を見せてくれたのが恐らくこの望遠鏡なので、子どもの時の憧れがそのままここにある」
観測会がきっかけで松野さんは天文の世界にはまっていきます。そして、社会人になって丸亀市の天文クラブに入会しました。
そこで意外な出会いもあったそうです。
(松野俊博さん)
「当時(この望遠鏡を)操作していた人は1人しかいなくて、『この望遠鏡を見に行ったことがあったんや』って言ったら『それは俺やで』と言われて『あなたがお師匠さんですか』って」
現在、松野さんは「師匠」の後を継ぎ、この場所で月に1回のペースで観測会を開いています。
5月の観測会には40人近い親子が参加して月を観察しました。
(観測の様子)
子ども「ちっちゃい穴がある」
松野さん「お月さんにいっぱい穴が開いてるの? あれはクレーターって言って宇宙から飛んできたものがぶつかった跡、香川県くらいの大きさがある」
(参加者は―)
「自分では望遠鏡が用意できないので、身近に見られる施設があって、解説しれくれる人がいてありがたいです」
丸亀市の生涯学習センターは老朽化のため、2025年に取り壊されることが決まっています。天体望遠鏡を今後どうするのかは決まっていません。
松野さんはできるだけ多くの人に天文を身近に感じてもらうため、今後も月1回の観測会のほか講習会などを開くつもりです。
(松野俊博さん)
「星を嫌い人はいないと思ってます。ただ、星はどうして見られるのかを知らない人が多いのですよ。だからもし来てもらって、見て感動してもらえると、僕もそれは喜びなんですね」
丸亀市生涯学習センターでの次回の観測会は6月24日です。詳しくは松野さんのフェイスブックをご覧ください。