5月、香川県三豊市の夜間中学に不登校だった中学2年生の女の子が転入しました。さまざまな事情で義務教育を十分に受けられなかった人が通う公立の夜間中学で、現役の中学生を受け入れているのは全国で三豊市だけです。幅広い年代の生徒とともに前向きに学ぶ姿を取材しました。
2023年で開設2年目を迎えた三豊市立高瀬中学校の夜間学級。授業は午後5時半から始まります。生徒の数は1年生と2年生の計18人で、10代から80代まで、幅広い年代の人が学んでいます。
5月、ここに転入したのが、中学2年生のりささん(仮名)。小学5年生のころから友人関係などに悩み、不登校になっていました。現在は両親の送り迎えで、徳島県の自宅から1時間ほどかけて通っています。
(りささん[仮名・中2])
「授業も分かりやすいし、みんな温かいし、わが家。行けると思わなかった、学校に。びっくり……」
Q.自分にびっくりしてる?
「びっくりしてる」
公立夜間中学では昼の中学校と同じように、免許を持った教員が9教科を指導しています。
りささんが住む徳島県も含めて17都道府県に44校ありますが、「不登校特例校」として現役の中学生を受け入れているのは全国で唯一、三豊市だけです。
2022年度は、不登校だった中学3年生の中川大貴さんが転入し、卒業証書を受け取りました。不登校の子どもたちの一つの選択肢として、新たな役割が期待されています。
(りささん[仮名・中2])
「この土偶……社会の先生から借りた」
Q.なんで?
「え? かわいかったから」
2023年度転入した中学生は、りささんを含めて2人。中川さんのニュースを見て、夜間中学の存在を知ったというりささんは、今回、顔を出して取材に応じてくれました。
(りささん[仮名・中2])
「うちみたいな学校に行けないっていう子に、ちょっとでも勇気が届いたらなと思って」
りささんの母親も、夜間中学で学びたいという気持ちを後押ししたいと考えています。
(りささんの母親)
「不登校で自宅にずっといるときに比べると、笑顔も増えたしよくしゃべるようにもなったし、やっぱり楽しい、学びたいと思える場所ができたということは、大きな選択肢の一つになると思います」
(りささん[仮名・中2])
「とりあえず高校に入りたいので、勉強を頑張ります」
新たな学び舎で、りささんは一歩ずつ歩み始めています。