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【パリ五輪 自転車・太田海也 ボートに懸けた高校時代②】「出会えてよかった」頂点に挑んだ大舞台 岡山初の試みへのアツい思い

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 自転車トラック競技のエースとしてパリ五輪に出場した岡山市出身の太田海也選手(25)。その太田が高校時代に打ち込んだのがボート競技。高校最後の大会となった国体に太田はアツい思いを持って臨んでいました。

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 2017年の国体、少年男子・かじ付き4人スカルの岡山選抜は、「関西高校」と「備前緑陽高校」の混成クルー。私立と県立の高校がタッグを組むのは、岡山では初めての試みでした。

 混成クルーの結成のきっかけは備前緑陽の3年生だった太田海也の願いでした。

 太田は、前年の国体でシングルスカル・2位に輝くなどこれまで「個人」で結果を残していました。そんな中、ボートの花形でもある「かじ付き4人スカル」には強い憧れを抱いていました。

 転機は、2017年8月のインターハイ。有本勝志と組んだダブルスカルで優勝したことでした。

(岡山選抜[備前緑陽]/太田海也 選手)
「インターハイ終わって、優勝して調子に乗って(関西の)森川先生のところに、有本と2人だけで『よろしくお願いします』とお願いしにいきました。『私立と県立合わせて本気で優勝を狙いにいって有終の美を飾りたい』と伝えました」

(岡山選抜[関西]/森川幸夫 監督)
「うちはいつも国体出る時は単独クルーだったんですけど、普通だったら突っぱねとったかもわかりませんが、やっぱり備前緑陽の生徒から『一緒にやってみたい』『チャレンジしたい』っていう申し出だったんで、なんか……折れました」

 2017年10月、愛媛県今治市で開かれた国体のボート競技。1000mの距離で争われる「かじ付き4人スカル」の準決勝で、岡山選抜は3分5秒97と16チーム中で最速のタイムで決勝進出を決めました。そしてこの結果は、クルーたちの不安を払拭するものでした。

(岡山選抜[関西]/角南仁基 選手)
「自分たちは混成クルーということで、レース経験がほとんどなくて……予選は、『こんなんで勝てるんか』っていうタイムとか順位だったんですけど……」

 実は、4人で初めての実戦となった2日前の予選レースでは5チーム中4位。翌日の敗者復活戦を勝ち抜いて、ようやく準決勝に進出していました。

太田選手「めちゃめちゃミーティングした。(Q.どんな?)きのうは泣きそうなぐらいのミーティング、夜」
角南選手「腹を割って話そうって。ホンマにきのうの夜は寝られなかったです、アドレナリン出まくって」
太田選手「寝ように寝られない。窓曇っていたし(笑)」

(岡山選抜[備前緑陽]/太田海也 選手)
「本当に優勝する感覚をしっかりつかめたんで、あした必ず優勝できると思っています」

 2009年以来、8年ぶりの頂点をかけた決勝。岡山選抜は準決勝同様、『前半の500mで前に出る』という作戦で臨みます。

 狙い通り、前半をトップで通過した岡山選抜でしたが、最後は前年の覇者、愛媛選抜に抜かれ2位となりました。

(岡山選抜[関西]/森川幸夫 監督)
「ありがとう。勝たしてやれなくてごめん。本当にごめん……でも、いいクルーだった。もう笑って終わろうな」

(岡山選抜[備前緑陽]/太田海也 選手)
「今までずっと1人で戦ってきたんですけど、また違った楽しさとか、嬉しさも悲しさも4倍で、チームに恵まれて本当に幸せです。これで高校ボート生活が終わるんですけど、本当にボートに出会えてよかったです」

 限られた練習時間の中、互いに絆を深め頂点に挑んだ大舞台。最後は全員が笑顔でした。

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自転車競技に転向した太田海也はパリ五輪で3種目に出場。チームスプリントは5位、個人スプリントは7位。ケイリンは一時決勝進出を果たしたかにみえましたが、その後失格となりました。

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